振り回されない練習

「自分のペース」をしっかり守るための50のヒント
未読
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「自分のペース」をしっかり守るための50のヒント
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振り回されない練習
出版社
出版日
2023年11月30日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

自分の意志で物事をコントロールするのはとにかく難しい。

仕事の場では、さまざまな関係者の利害が複雑に絡み合う。自分の仕事が忙しくても後輩の面倒を見なければならないときもあれば、納得のいかない上司の指示に従わなければならないときもある。経営者目線で決めた会社の方針が、現場の状況を「わかっていない」としか思えないものであったら、現場の混乱は必至だ。家庭でもさまざまな役割が期待されることが多く、友人関係といえどまったく気を使わなくていい関係は存在しない。ときにはやっかいな人に振り回されることもあるだろう。

さまざまな主体が複雑に絡みあう世界で、自分のペースを守って生きることなど不可能に思える。本書の著者である人気心理学者・内藤誼人氏も、それが根源的には解決できない問いであることをよくわかっている。だからこそ、どのようにしたら自分のペースを守れていると感じることができるか、ストレスを感じなくなるかに着目し、主に心理学分野の研究をさまざまに引用しながら、本書ではそのヒントを提示する。

なにもかもを自分の意志で決めることはできない。できないことにこだわっても仕方がない。それでも、自分の意志でコントロールしているという感覚を得ることはできる。その感覚こそが、もしかしたら主体というものの本質なのかもしれない。

ライター画像
池田明季哉

著者

内藤誼人(ないとう よしひと)
心理学者。立正大学客員教授。有限会社アンギルド代表。慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。社会心理学の知見をベースにした、「自分の望む人生を手に入れる」ための実践的アドバイスには定評がある。『「習慣化」できる人だけがうまくいく。』『イライラ・不安・ストレスがおどろくほど軽くなる本』『悪人の技法』『すごく使える心理学テクニック』『自信をつける習慣』『気にしない習慣』など、著書多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    周囲との衝突を避けてしまうことに悩んでいる人は少なくないだろう。しかし実は競わず周りとの和を尊ぶほうが、かえって成果をあげやすい。
  • 要点
    2
    人間は甘い見積もりをしてしまいがちである。最悪の想定でもまだ実際に必要なスケジュールに足りないことを示唆する研究もある。とにかく余裕を持とう。
  • 要点
    3
    自転車競技の選手に自分の全力より速い映像を見せながら走らせると、全力を超えたタイムを記録したという研究がある。限界を超えるイメージを持つことは、実際に限界を超えさせる効果がある。

要約

【必読ポイント!】 振り回されて当たりまえ

楽しく仕事をするコツは、競争しないこと
tatianazaets/gettyimages

他人に嫌われたくない、できればうまく付き合いたい――誰もが思うところだろう。しかし相手に遠慮して自分のペースを乱されてしまっては、振り回されてばかりの人生を送ることになる。

「あの人には負けてなるものか」という競争心は自分のモチベーションを高めることに役立つように思える。しかし、誰かと競い続けていると、小さな結果に一喜一憂して自分のペースを保つどころではなくなってしまう。特に、繊細な心を持っている人には、他人と競うことは避けるのをオススメしたい。

米国ロチェスター大学のエドワード・デシは、男女40名ずつの参加者を集め、同性のアシスタントと一緒にパズルのピースを組んで絵を完成させる作業をやってもらった。このとき、半分のペアには「相手と競争してなるべく早く解いてほしい」と伝え、残り半分のペアには、単に「できるだけ早く解いてください」とだけ伝えた。

実験が終わったところで自由時間を設け、パズルで遊ぶ時間を測定した。実験はすでに終わっているので、遊ぶ義務はない。つまり、長くパズルで遊んでいるということは、作業をおもしろいと感じたということになる。男性でも女性でも、競争しなかった人のほうが、自由時間により長く遊ぶという結果になった。つまり、他の人と競争することは、やる気や面白さに影響を与えるということである。

もちろんすべての競争が悪いわけではない。過去の自分と競争して成長を実感することは、むしろモチベーションにつながる。自分で楽しく取り組み、他の人と比べないことが楽しく仕事をするコツである。

成績を残す人ほど競争をしていない理由

とはいえトップの成績を取る人は、負けん気が強くて他の人ともガンガン衝突しているのだろうと思う人もいるかもしれない。しかし現実はまったく逆だ。

ハーバード・ビジネス・スクールのボリス・グロイスバーグは、『インスティチューショナル・インベスター』という雑誌で62の投資銀行のアナリストのランクを調べた。そして、同僚たちとの関係についても調べてみた。その結果、トップランクのアナリストほど同僚たちとの関係が良好であることがわかった。

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要約公開日 2024.03.26
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