売れる組織 売れる営業
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出版社
実業之日本社

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出版日
2025年05月01日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

営業職は専門職であるにもかかわらず、その教育環境は他の専門職に比べて整っていない。資格制度がない分、指導は属人的で場当たり的になりやすく、成果を出せる人と結果に悩み続ける人の間で、大きな差が生じてしまう――本書は、この問題提起から始まる。

著者の田中大貴氏は、キーエンスとプルデンシャル生命という営業の名門企業で抜群の実績をあげてきた人物である。キーエンスでは連続で目標を達成し、プルデンシャル生命では、当時全国最年少でエグゼクティブ・ライフプランナー(部長職)に就任したばかりでなく、約120万人の生命保険募集人の中でも上位0.01%しか認定されないMDRT TOT会員に選出された。その後は、営業に悩む組織や個人を支援すべくSales Naviを創業し、営業パフォーマンスの標準化に取り組んでいる。

本書は、そんな田中氏の現場経験と理論を凝縮した「営業の教科書」である。最大の特長は、営業成果を「4つの要素×4つのステップ」という構造で捉えている点にある。営業力の基盤となる「知識」「スキル」「習慣・管理」「心構え」の4要素に対し、「知る」「わかる」「やってみる」「できる」のステップを順に踏ませることで、再現性のある成長を可能にしている。

実践的かつ体系的に、営業の「型」を習得できるよう設計されており、属人的なやり方から脱却したいと考えるすべての営業パーソンにとって指針となる一冊である。特に、営業で壁にぶつかっている若手や、チームを育てたいマネジャー層には非常におすすめだ。これ一冊読んでおけば、これからの営業人生が一変するだろう。

著者

田中大貴(たなか だいき)
株式会社Sales Navi 代表取締役
2008年同志社大学文学部を卒業後、株式会社キーエンスに入社。連続で目標を達成したのち、2010年にプルデンシャル生命保険株式会社にスカウトされ入社。以来11期連続社長杯入賞。2017年に、当時全国最年少でエグゼクティブ・ライフプランナー(部長)に就任。2017~2021年度には、日本の生命保険募集人登録者、約120万人のなかで上位0.01%しかいないとされるMDRT TOT会員に認定される。順風満帆な営業人生を送る一方で、「道しるべがないがために営業に悩んでいる組織や人」の存在を知り、「営業の道しるべを創る」というビジョンを掲げて2021年にSales Naviを創業。事業を推進する傍ら、ひとりでも多くの営業パーソンが抱える課題や悩みを解決したいという想いから「営業の教科書」をつくることを決意し、本書『売れる組織 売れる営業』を執筆。

本書の要点

  • 要点
    1
    常に成果を上げ続ける組織には、営業の基盤となる「型」が存在し、それを営業パーソンに対して体系的に教育している。この型に沿って営業活動を行うことで、一定以上の成果を安定して生み出すことが可能となる。
  • 要点
    2
    成果を出し続ける組織には、独自のカルチャーが根づいている。
  • 要点
    3
    売れる営業パーソンは、「知識」「スキル」「習慣・管理」「心構え」の4つの要素を備えている。これらを身につけるには、それぞれの要素において「知る」「わかる」「やってみる」「できる」という4段階のプロセスを順に踏んでいく必要がある。

要約

売れる組織には「型」がある

一般的な営業組織の課題

営業職は専門職のひとつであるにもかかわらず、その教育環境はほとんど整備されていない。

医師や美容師とは異なり、営業職には資格や免許が不要であるため、入社後にOJTで商品やサービスについて学ぶことになる。

しかし、どの先輩から指導を受けるかによって教えられる内容は異なるうえ、十分な時間をかけてもらえることは稀である。

正解がわからないなか、新人営業は、OJTで見聞きしたことを見よう見まねで実践するしかない。その中でコツを掴んだ人は成果をあげられるが、大半の営業パーソンは思うような結果を出せずに悩むことになる。

これは個人の問題にとどまらない。組織の観点から見ても、営業パーソンごとに営業力に差が生まれ、成果が分散化してしまうのは実にもったいない。

この分散化を解消するには、営業教育を通じて営業の「型」を会得させ、誰もが高い成果を出せるよう導くことが重要である。

著者が新卒からおよそ2年半を過ごしたキーエンスや、その後、約11年間を走り抜けたプルデンシャルのような企業では、営業の土台となる「型」をしっかり構築している。その型通りに営業を行えば、一定以上の成果を安定的にあげることが可能となり、組織としても高い成果を確保できるのだ。

営業で大切な4つのステップと要素
west/gettyimages

営業で成果をあげるには、「知識」「スキル」「習慣・管理」「心構え」という4つの要素が不可欠だ。そして、それぞれの要素において、「知る」「わかる」「やってみる」「できる」という4つのステップを順に踏んでいくことになる。

このステップを整理できれば、営業力を高めたい企業や、生産性向上を目指す組織、営業に不安を抱える営業パーソンにとって、進むべき道筋が明確になるはずだ――。

そうした考えのもと、本書では、4つのステップと4つの要素を順に解説している。要約では、そのうち「知識」と「習慣・管理」に焦点を当てて紹介する。

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要約公開日 2025.07.04
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