自分の言葉で書く
自分の言葉で書く
思いが届く・相手が動く「文章」の書き方
自分の言葉で書く
出版社
明日香出版社

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出版日
2025年06月14日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

「何か書きたいのに、言葉が出てこない」「書いては消すのを繰り返し、いつまで経っても書き上がらない」「事実や意見を淡々と並べてしまい、共感を得られる文章にならない」。そんな悩みに心当たりがあるなら、本書がきっと役立つはずだ。

著者のさわらぎ寛子氏は、25年の職歴をもつコピーライターであり、手がけたコピーは3万件以上に上る。企業の広告制作から企業研修、大学講師まで幅広く活躍してきた豊富な現場経験と、その経験から導き出されたノウハウが、この一冊に凝縮されている。

本書の魅力の一つは、「文章がうまく書けない」悩みを5つに分類し、原因と対処法を明快に示している点にある。たとえば「何を書けばいいかわからない」人には、「誰に・どんな気持ちになって・どんな行動をしてほしいか」の3点を定めることが効果的だそうだ。このパートを読むだけでも、文章への不安が軽減されるだろう。

さらに、「読みたくなる文章の書き方」として、文章の5つの基本、相手の心に届く構成、行動を促すための工夫などが紹介される。「何を書くか」を決める4ステップ、「自分が言いたいこと」を「相手が知りたいこと」に変換する3つのコツ、ペルソナへのヒアリングで本音を引き出す質問術など、どれもすぐに使える実践的な内容ばかりである。

SNSやブログでの発信力を高めたい人はもちろん、書く力を磨き、仕事の成果につなげたいビジネスパーソンにもおすすめの一冊だ。

著者

さわらぎ寛子(さわらぎ ひろこ)
コピーライター
コトバワークス株式会社代表取締役
1978年京都府生まれ。関西大学社会学部卒。関西大学非常勤講師。現役コピーライターで、企業の広告制作のほか、企業研修も多く手がける。 25年間コピーライターとして食品、美容、ホテル、学校、病院、製薬会社、電鉄など様々な業種の広告制作を手掛ける。書いたコピーは3万件以上。2010年「2時間でキャッチコピーが作れる」メソッドを独自で開発。現在は、オンラインとリアルな会場で長期講座を開催。自分メディアを使って集客したい、売上を上げたいと願う経営者や起業家から高い評価を得ている。
著書に、『キャッチコピーの教科書』(すばる舎)、『今すぐ自分を売り出す1行を作れ』(大和書房)、『自分らしさを言葉にのせる 売れ続けるネット文章講座』(ぱる出版)、『発信力を強化する「書く」「話す」サイクル』(ぱる出版)、『言葉にする習慣 思いがまとまる・伝わる「言語化力」の身につけ方』(明日香出版社)、監修書に『仕事ができる人の言語化見るだけノート』(宝島社)がある。
コトバワークス株式会社:https://www.kotoba-works.com

本書の要点

  • 要点
    1
    「何を書くか」は、次の4ステップで定めるとよい。まず、文章のテーマをざっくり決める。次に、「誰に」「どんな気持ちになって」「どんな行動をしてほしいか」を具体化する。そのうえで、自分の立ち位置を明確にし、「どこに光を当てるか」を決める。最後に、伝えたいことを1つに絞り込む。
  • 要点
    2
    ペルソナに対するヒアリングでは、抽象的な悩みだけでなく、具体的な場面を尋ねるのが効果的だ。
  • 要点
    3
    相手を動かす文章は、「ハッとする」「ワクワクする」「納得する」「行動する」の4要素で構成される。行動を促すには、ロジックよりも、商品やサービスが“ある未来”と“ない未来”をリアルに描くほうが、心に届きやすい。

要約

なぜ「文章が書けない」のか?

5つのパターンと対処法
b-bee/gettyimages

「文章がうまく書けない」という悩みは、大きく5つのパターンに分けられる。自分のパターンを特定し、それに合う対処をしよう。

1つ目の悩みは「何を書けばいいかわからない」だ。

この場合、「誰に」「どんな気持ちになって」「どんな行動をしてほしいか」の3点を決めることで、書くべき内容が見えてくる。

2つ目の悩みは「書きたいことが多くてまとまらない」だ。

思いついたことをすべて書き出して、「書くこと」と「書かないこと」を分けよう。テーマを絞るほど、より刺さる文章になる。

3つ目の悩みは「思いや考えを言葉にできない」だ。

うまく表現できなくても構わないので、まずは書き上げてから、より適切な言葉に整えていけばいい。「うまく言葉にできないんですけど」と前置きして話してみたり、「何が一番」と「なぜ」の視点で自問自答してみたりするのも効果的だ。

4つ目の悩みは「書いてもこれでいいのか判断できない」だ。

そのまま悩み続けるより、仮の状態で誰かに見せてみよう。他者の反応を受け取ることで、調整の方向性が見えてくる。

5つ目の悩みは「相手に伝わっている気がしない」だ。

まずは「自分がこう書きたい」という思いを大切にして、一気に書いてみることだ。それを誰かに見せ、相手の反応をヒントに修正を重ねることで、伝わる精度を高めていける。

「自分の言葉で書く」ための基本

「何を書くか」の決め方

「何を書くか」は、次の4つのステップで整理できる。ここでは「コミュニケーション」についてWeb記事を書くと仮定して、それぞれのステップを見ていこう。

第1ステップでは、文章のテーマをざっくり決める。ここでは「信頼されるコミュニケーションの方法」とする。

第2ステップでは、「誰に」「どんな気持ちになって」「どんな行動をしてほしいか」を具体化する。「入社2〜3年目の20代の若手」に、「これなら今日から職場で使える」と感じてもらい、「『面白い記事あったよ』と周囲にシェアしてほしい」といったイメージだ。「誰に」の部分は、特定の人物を3人ほど思い浮かべるといいだろう。

第3ステップでは、自分の立ち位置を決め、「どこに光を当てるか」を明確にする。専門家として語るのか、読者より少しだけ経験を積んだ先輩として書くのか、それとも同じ悩みを共有する当事者として綴るのか。立ち位置が定まれば、語る内容も自然と決まる。

第4ステップでは、伝えたいことを1つに絞る。複数ある場合は、いったんすべて書き出し、今回の記事にもっとも相応しいものを選ぼう。

「伝えたいこと」の決め方

「伝えたいこと」を決めるうえで有効なのは、「読者の問いに応える」と「読者に発見を生み出す」という2つの視点である。

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要約公開日 2025.08.08
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