2020年8月31日、“投資の神様”ウォーレン・バフェットによる日本の商社株投資が報じられた。自身の投資会社「バークシャー・ハザウェイ」が、関東財務局に複数の大量保有報告書を提出したのである。バフェットは子会社を通じて、五大商社株(三菱商事、三井物産、住友商事、伊藤忠商事、丸紅)の発行済み株式の5%超を取得した。
これまで日本では、商社のビジネスモデルは評判が芳しくなかった。事業があまりにも多岐にわたり、外部から見てわかりにくいというのがその理由である。株価もその影響で割安に放置されている(コングロマリットディスカウント)と言われてきた。
ところが、バフェットは、日本の商社が「世界中で合弁会社を作っている」ことを高く評価し、それらが「将来、相互に理解をもたらす機会があると望んでいる」とコメントした。つまり、コングロマリットや多角化に将来性を見出しているということだ。
バフェットの投資は「商社株は価値がある」というシグナルと受け取られ、他の投資家たちも商社投資を再評価し始めた。実際、商社の代表的企業、三菱商事の株価はバフェットによる投資が明らかになってから、4倍以上に跳ね上がった。
「コングロマリット」とは、複数の異なる事業を抱える企業を指す経済用語である。日本語訳にすると「複合企業体」となる。
混同されやすいものに「コンツェルン」があるが、これは子会社・グループ会社を通じて、「同一産業の独占」を目的とした企業グループのことである。一方、コングロマリットは「複数の異なる事業」を所有することで、事業リスクの分散や収益の安定化を可能とする仕組みだ。総合商社、総合小売、総合電機など「総合」と付くものは、すべてコングロマリットの一種である。
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