壁打ちは最強の思考術である
壁打ちは最強の思考術である
壁打ちは最強の思考術である
出版社
出版日
2025年07月25日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

仕事の合間に、同僚と何気ない雑談をしているうちに、なぜか頭がすっきりとクリアになった。そんな経験はないだろうか。誰かと話すことで、自分の頭の中にある漠然とした考えが言葉になり、「自分はこんなことを考えていたのか!」と自分でも驚くようなことが発見できる。このような営みが、本書が提唱する「壁打ち」である。

本書は、67万部を超えるベストセラーとなった『1分で話せ』の著者である伊藤羊一氏の最新作だ。「壁打ち」のやり方は極めてシンプルで、とにかく頭の中にあることを口に出すことから始まる。自分の頭の中にあるモヤモヤとした考えを、ありのまま、そのままに相手に投げかけると、答えや問いかけが返ってくる。それを受けてまた自分の考えを口に出す。その繰り返しによって、徐々に頭の中が言語化され、整理されていくのだという。

自分が考えていることを、自分の頭の中だけで整理するのは難しい。ノートなどに書き出すことでも言語化はできるが、他の人と会話しながら行うことで「第三者の視点」が入り、思いもよらない発見があったり、より自分の考えを客観視したりする効果が期待できると伊藤氏は語る。

決められたことを決められたとおりにこなしていればいい時代は終わった。これからは誰もがクリエイティブに仕事をしなければならない時代になりつつある。そんな状況で、「自分の頭で思考する」ことは、すべてのビジネスパーソンにとって必須のスキルとなるというのが伊藤氏の考えだ。

本書を読んで今すぐ「壁打ち」を試し、その効果を実感してほしい。

ライター画像
千葉佳奈美

著者

伊藤羊一(いとう よういち)
壁打ちの達人。武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 学部長。Musashino Valley代表、Voicyパーソナリティ。アントレプレナーシップを抱き、世界をより良いものにするために活動する次世代リーダーを育成するスペシャリスト。2021年に武蔵野大学アントレプレナーシップ学部(武蔵野EMC)を開設し学部長に就任。2023年6月にスタートアップスタジオ「Musashino Valley」をオープン。「次のステップ」に踏み出そうとするすべての人を支援する。また、ウェイウェイ代表として次世代リーダー開発を行う。代表作『1分で話せ』は67万部超のベストセラー。

本書の要点

  • 要点
    1
    「壁打ち」とは、頭の中にある構造化されていない情報(=モヤモヤ)を、口に出すことで言語化し、他者と交換できる形にする思考法である。「壁打ち」によって、思考を広げ、深め、固めることができる。
  • 要点
    2
    決められた型通りのものをつくる力で評価された時代が終わった。自分の頭で考え、自分で生み出したアイデアを形にする力は、現代のビジネスパーソンに必須のスキルとなった。「壁打ち」はこのような思考力の実現に不可欠である。

要約

「壁打ち」は最強の思考術

「口に出す」ことから始めよう

仕事がデキる人とデキない人の違いは、行動の質、量、スピードにある。より多く、速く、成果に結びつくアクションをする行動力の違いだ。その行動の前にあるのが、思考である。スッキリ整った思考があってこそ、行動を積み重ねることができる。

多くの人の頭の中は、漠然としたアイデアやぼんやりした感想など、言語化されきっていないモヤモヤとしたもので満たされている。誰にも共有できない無形のモヤモヤを形にして、行動を引き起こすために有効なのが「壁打ち」だ。

壁打ちの基本は、モヤモヤをモヤモヤのまま口に出して誰かに聞いてもらい、打ち返してもらうこと。まとまっていなくてもなんでもいいので、頭の中の「構造化されていない情報」を少しずつ言葉にしてみよう。「話す」ことは、頭の中のモヤモヤを形にする第一歩だ。「話す」という行為が思考の解像度を高め、行動の質とスピードを高めてくれるはずだ。

会議と雑談と1on1のすべてを兼ね備えた「壁打ち」
Dylan Gillis on Unsplash

では、「壁打ち」とは具体的にはどんなものなのか、会議や雑談、1on1と比較しながら考えてみよう。

会議には議題や資料が必要とされ、結論が求められる。一方、壁打ちの場合、議題(=イシュー)はあやふやなままでもいい。「なんとなくこんなイベントやってみたいと思ってるんですけど、壁打ちに付き合ってもらえませんか?」といったぼんやりとしたスタートで許されるのが、壁打ちのいいところだ。資料は不要だし、結論が出なくてもよい。壁打ちの目的は結論を導き出すことではなく、やりとりを通じてモヤモヤを言語化していくことだからだ。壁打ちで言語化が進み、次の行動へつながれば、大成功だ。

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要約公開日 2025.10.01
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