ウォール街のプロ投資家と互角に戦える? 「インデックス投資」の秘訣
実は世界標準の投資法! つみたてNISAの時代に知っておくべき活用法

「短期投資で日々の値動きに一喜一憂し疲弊している」「つみたてNISAやiDeCoに興味はあるけど、一歩が踏み出せない」。そんなビジネスパーソンの悩みを解決してくれるのが『お金は寝かせて増やしなさい』(フォレスト出版)です。

「お金を寝かせておくだけで増やせるって本当?」と、一瞬、目を疑った方もいるかもしれません。

著者で個人投資家の水瀬ケンイチさんは、15年間のインデックス投資の実践において、天国と地獄を味わったそう。そこでの経験と、経済学などの理論に裏づけられたインデックス投資の効果的な活用法を、本書に凝縮したといいます。おすすめのインデックスファンド、出口戦略など、「ここまでオープンにしていいの?」と思ってしまう内容が目白押しの一冊です。インデックス投資のメリットと、成果を出す秘訣とは何なのでしょうか。

なぜ今、インデックス投資が注目されているのか?

著書『お金は寝かせて増やしなさい』は、発売2カ月弱で6万2000部突破とのこと。これほどの反響を得ている理由は何だとお考えですか。

一つは、世の中が「投資」を本格的にプッシュしているからです。iDeCo(個人型確定拠出年金)が浸透してきたのもこの数年のこと。2014年からはNISAがスタートし、2017年から始まったつみたてNISAを金融庁が推奨するなど、これまで投資に興味がなかった層にも「貯金から投資へ」という動きが広まりつつあります。金融庁のお墨付きがあることで、「投資は危険」という見方も少しずつ緩和されてきました。こうした流れを受けて、この1、2年で、日本のインデックス投資の商品も、まともなものが一気に増えてきました。

あともう1つは、各章の導入部分で、インデックス投資のポイントが端的にわかる漫画を加えたことも、「これまで投資って難しい」という読者、特に若い方に興味をもってもらいやすかったのかなと思っています。

お金は寝かせて増やしなさい
お金は寝かせて増やしなさい
著者
水瀬ケンイチ
出版社
フォレスト出版

ウォール街の金融のプロたちと互角に戦える「インデックス投資」のすごさ

インデックス投資のメリットを、これからご本を読まれる方に向けて教えてください。

インデックス投資とは、世界中に分散したインデックスファンドを積みたて投資して長期保有すること。その一番のメリットは、「手間をかけずに、そこそこのリスクで、そこそこのリターンをめざせる」という点です。多くの人は忙しいので、株価の動きを頻繁に確認して売買する時間も、心の余裕もないでしょう。

もちろんインデックス投資を始める際は、自分のリスク許容度を知る、運用管理費用(信託報酬)が低いファンドを選ぶといった作業が発生します。ですが、いったん銘柄と金額を設定すれば、あとは寝かせておくだけ。
年に一度、運用していく中で崩れてきた資産配分を、所定の比率に戻す「リバランス」をすれば、長期的には着実な資産形成が期待できます。そのため、インデックス投資を継続すれば、空いた時間で人生をより豊かに過ごせるのです。

まさに本書のタイトルどおりなんですね!

インデックス投資が画期的なのは、これほどシンプルな投資法にもかかわらず、明確な根拠があるという点です。その根拠は、経済学や現代ポートフォリオ理論などの投資の理論、統計学など多岐にわたります。

私も、インデックス投資に出合うまでには、デイトレーダーのように短期投資にのめり込んでいた時期があります。休み時間のたびにケータイで株価チャートとにらめっこ。「このままでは生活が破綻するのではないか」と思うような状況に陥ったこともありました。

そんなとき、投資家のバイブルといえる『ウォール街のランダム・ウォーカー』(日本経済新聞出版社)を読み、衝撃的な言葉に出合いました。「個人投資家にとっては、個々の株式を売買したり、プロのファンドマネジャーが運用する投資信託に投資したりするよりも、ただインデックスファンドを買って、じっと待っている方がはるかによい結果を生む」。

実はインデックス投資は、世界標準の投資法。世界中の年金基金や信託銀行などの機関投資家の間では、積極的に採用されています。さらには、インデックス投資で運用した実績を見ると、金融の中心地ウォール街の金融のプロたちの大半を、打ち負かしているのです。

ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉 ―株式投資の不滅の真理
ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉 ―株式投資の不滅の真理
著者
バートン・マルキール
出版社
日本経済新聞出版社
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「日本人の多くはリスク回避型」とは限らない?

インデックス投資は世界標準の投資方法なのに、なぜ日本ではこれまであまり広まらなかったのでしょうか。

理由は主に次の2つです。1つは、金融機関にとっては、インデックスファンドの手数料が他のアクティブな商品に比べて低いこと。利幅が小さくてうま味がないので、あまり積極的にすすめないというわけです。金融機関の収入源が販売手数料や信託報酬であることを考えると、やむを得ない面もあるでしょう。

2つ目は、意外と「インデックス投資は退屈」と考える個人投資家が多いこと。日本人は一般的に、リスク回避型で、タンス預金にいそしむというイメージがあるかもしれません。ですが、そうした保守的な人と対照的に、投資の結果がどうなるかわからないというドキドキ感、ある種のギャンブル性を求める人も多いのです。ビットコインなどの仮想通貨に投機目的で飛びつく人が多いのも、その事実を端的に表しているといえます。

ハイリスク・ハイリターンの資産とローリスク・ローリターンの資産のように、対照的な資産を組み合わせる投資手法を、「バーベル戦略」といいます。まるで日本人全体が、このバーベル戦略を体現するかのように二極化しているのです。

ですが、今後、「貯蓄から投資へ」の流れが加速すれば、比較的堅実なインデックス投資に取り組もうとする人はますます増えていくでしょう。

水瀬さんが15年間インデックス投資を継続し、成果を出せている秘訣は何ですか。

投資の「リターンの源泉は何か」を腹落ちさせることですね。リーマンショックのように、世界的な大暴落が起こると、「売ったほうがいいのではないか」と思うかもしれません。ですが、これまで世界各国の株式は、長期的に見ると、右肩上がりに上昇を続けてきています。これは、人間が、もっと豊かな生活や、よりよい製品・サービスを求める生き物であるためです。この欲望がある限り、資本主義は拡大再生産を続けていきます。

その意味で、インデックス投資は、人の欲望をエンジンとした資本主義経済の長期的発展に賭ける投資法ともいえます。こうしたことをしっかりと理解していれば、インデックス投資を継続できます。インデックス投資の肝は、「どんな経済環境になっても、いかに売らないで我慢していられるか」に尽きるといってよいでしょう。

『お金は寝かせて増やしなさい』より「資本主義の拡大再生産」

インデックス投資を始めるにあたっての注意点はありますか。

大前提として、「生活防衛資金」を貯めておくことが欠かせません。これは、リストラや長期入院といったことが起きても、自分と家族の生活を守るためのお金のこと。目安は生活費の2年分です。

ただし、特に若い方は「2年分も貯めるのは難しい」というケースもあるでしょう。その場合は、生活防衛資金を貯めながら投資をし、できるだけ資産配分を安全サイドに寄せることをおすすめします。

まさかの事態に備えておくことは、心の平安にもつながります。自分のリスク許容度を把握して、その範囲内に収めるということを意識してほしいですね。

金融リテラシーが高く、自分で投資判断ができる人は、インデックス投資を避けるケースが多いとも聞きます。リテラシーの高い人たちに向けた、おすすめのインデックス投資活用法を教えてください。

もちろん、インデックス投資が唯一の正解ではありません。「ファンダメンタルズ分析で投資先を見極め、都度、売買の判断をしながら最良の結果をあげたい」という人もおられます。

こうした方がインデックス投資を活用するとしたら、おすすめは、「コア&サテライト戦略」です。この戦略は、ポートフォリオをコア(核)とサテライト(衛星)に明確に区別し、コアで守りをかためて、サテライトで攻めるというもの。このコアに、比較的手堅いインデックス投資を据えて、サテライトに、経済・市場動向に応じて、たとえば新興市場の株式や、不動産、コモディティなどのリスク資産を配置して売買する。そうすれば、堅実に資産形成をしながら、自分で投資判断をしていく面白さも味わえます。

豊かな人生設計のためのオススメ本は?

水瀬さんはブログで投資本の書評も多数書いておられます。20代、30代のビジネスパーソンがお金との付き合い方を考えるうえで、おすすめの書籍は何ですか。

ファイナンシャル・ジャーナリスト竹川美奈子さんの著書、『税金がタダになる、おトクな 「つみたてNISA」「一般NISA」活用入門』(ダイヤモンド社)です。少額投資非課税制度であるつみたてNISAと一般NISAをどう使いこなしたらいいかが、詳しく書かれています。個人型確定拠出年金のiDeCoを含め「こういう状況の人ならこう」というように、具体的なパターンごとに紹介されているので非常に実践的。自著『お金は寝かせて増やしなさい』との併読をおすすめします。

税金がタダになる、おトクな 「つみたてNISA」「一般NISA」活用入門
税金がタダになる、おトクな 「つみたてNISA」「一般NISA」活用入門
著者
竹川 美奈子
出版社
ダイヤモンド社
本の購入はこちら

あとは、『ウォール街のランダム・ウォーカー』をぜひお読みいただきたいですね。1973年の出版から世界中で読み継がれてきた名著です。読めば、インデックス投資の本質と、そのメリットを実感できるでしょう。

インデックス投資への理解が深まりました。貴重なお話をありがとうございました!

お金は寝かせて増やしなさい
お金は寝かせて増やしなさい
著者
水瀬ケンイチ
出版社
フォレスト出版

水瀬 ケンイチ

みなせ けんいち

1973年、東京都生まれ。都内IT企業会社員にして下町の個人投資家。2005年より投資ブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー」を執筆、現在ではインデックス投資家のバイブル的ブログに。日本経済新聞やマネー誌などに数多く取り上げられる。著書『全面改訂 ほったらかし投資術』(朝日新書・山崎元との共著)。

公式ブログ

梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー

http://randomwalker.blog19.fc2/com

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文責:松尾 美里 (2018/03/19)
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