発酵を通して人類の文化や謎を紐解くカルチャー本 『発酵文化人類学』
【ほんをうえるプロジェクトのイチオシ】

ほんをうえるプロジェクト
発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ
発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ
著者
小倉ヒラク/著・イラスト
出版社
木楽舎
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発酵という言葉からまずなにを思い浮かべますか。やはり最近人気の発酵食品、味噌、醤油、ワイン、日本酒あたりでしょうか。「美味しい」もの。「健康にいい」もの。古くからある身近な生活のなかにあるものですが、それはどうやって生まれてきたのでしょうか。同じお味噌でも、地域によって全然違うのはなぜでしょうか。

この本の著者の小倉ヒラクさんの肩書きは「発酵デザイナー」です。どんな活動をしているのかというと、日本はもちろん世界のあちこちを巡り、世界中で育まれた不思議な発酵文化を世の中に伝えるお仕事をしています。お味噌屋さんのデザインの仕事をしたところから発酵の世界に足を踏み入れ、全国各地の醸造家から仕事を頼まれる「やたら発酵にくわしいデザイナー」に。さらに東京農業大学醸造科の研究生になり、発酵と微生物に関わる仕事のみを行う、世界で唯一の「デザイナー兼微生物研究家」になられたという、発酵の面白さに魅入られた伝道師です。

食べ物が時間とともに変化していくとき、腐らずに香りや味が増したり、保存性がたかまるケースがある。それを偶然ではなく再現可能なメソッドを磨き上げていったのが発酵という文化の原点になります。この本では微生物による発酵という科学的な現象のしくみについても触れられていますが、それ以上にその文化を伝えてくれるのが面白いところ。
著者いわく、この本は「発酵カルチャー本」。発酵のしくみについて説明しているだけではなく、発酵を通して人類の文化や技術の進化の謎を紐解いてしまおう!という本です。味噌について紐解いていけば、その土地の歴史が見えてくる。ヨーグルトが身体にいい理由を調べていけば、ミクロの生命の秘密に触れられる。発酵をキーワードに話題はどんどん広がっていきます。

え、そんな話になるの?という飛躍もあって、発酵とインターネットの発達の共通点を語ったり、アートや宗教の話になったり、なんでもありの読み応えのあるカルチャー誌を読んだみたい! 発酵についての単純な好奇心から読み始めたら、そこから思いもかけないジャンルの話がついてくる。特集買いした雑誌に一緒に載っていた記事で、思わぬ好奇心を刺激されるみたいな体験をしてしまうのです。

小倉さんのDJのようなノリのよい文章で、ちょっと難しいところも読まされてしまう。とってもパワフルで前向きなパワーに満ちています。著者のわくわくが伝染して、なにかを良きものに変えていく力、まさに「発酵」のような力のある不思議面白い本です。

ほんをうえるプロジェクト 船田真喜

「ほんをうえるプロジェクト」とは?

植物に水をやってゆっくりと育てるように、本ももっとていねいに売っていこうと、出版総合商社トーハンがはじめたプロジェクトです。新刊やベストセラーに限らず、独自の手法で良書を発掘し、本屋さんにご提案しています。同じ趣味をもった方同士がつながれる、「 #好きな本を語ろう 」というコミュニティを運営中です。ぜひご参加ください!

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公開日:2017/11/10
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