努力の地図
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出版社
クロスメディア・パブリッシング

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出版日
2025年06月01日
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おすすめポイント

「努力は報われるのか?」という問いがある。

この問いを投げかけると、「どんな努力もいつかは必ず報われる」「いや、報われない努力もある」「そもそも、成功と努力を結びつけること自体が間違いだ」などなど、たちまち大変な議論が勃発してしまう。そして多くの場合、議論は平行線をたどる。なぜか。それは、「努力とは何か?」が曖昧なまま話が進められるからだと著者は語る。本書では、曖昧に語られがちな「努力の構造化」を試みる。

本書は努力を、「努力」と「報酬」、そして両者をつなぐ「神話」の3つに分類し、タイトルよろしく、その「地図」を描く。おもしろいのは、「努力」と「報酬」をつなぐプロセスを「神話」と称するところだ。人は誰もがこのプロセスに、自分の経験則からくるロジックを無意識に採用する。それは自分が「こうあるべき」、あるいは「こうであってほしい」と信じるストーリーであり、つまりは「神話」なのである。本書ではこの「神話」を柔軟に選択することが、努力を多様に捉え、向き合う鍵であると説いている。

「頑張っても努力が報われない」、あるいは「自分のこれまでの努力は無意味だったんじゃないか」と壁にぶつかっている人に、本書を強く勧めたい。著者によれば、成長とは、「世界を多様に捉えるための見方を増やすこと」だという。壁にぶつかったタイミングこそ、成長のチャンスだ。ぜひ本書という「地図」を手に、自分の努力を見つめ直してほしい。

ライター画像
千葉佳奈美

著者

荒木博行(あらき ひろゆき)
株式会社学びデザイン代表取締役、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部教授。
住友商事、グロービス(経営大学院副研究科長)を経て、株式会社学びデザインを設立。株式会社フライヤーなどスタートアップのアドバイザーとしてかかわるほか、武蔵野大学、金沢工業大学大学院、グロービス経営大学院などで教員活動も行う。北海道にある株式会社COASや一般社団法人十勝うらほろ樂舎にもかかわり、学びの事業化を通じた地方創生にも関与する。著書に『構造化思考のレッスン』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『裸眼思考』(かんき出版)、『独学の地図』(東洋経済新報社)、『自分の頭で考える読書』(日本実業出版社)、『藁を手に旅に出よう』(文藝春秋)、『見るだけでわかる! ビジネス書図鑑』シリーズ(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『世界「倒産」図鑑』『世界「失敗」製品図鑑』(日経BP)など多数。Voicy「荒木博行のbook cafe」、Podcast「超相対性理論」のパーソナリティ。

本書の要点

  • 要点
    1
    努力は、4階建ての建物のように「量」「質」「設計」「選択」の4つの階層で構成される。
  • 要点
    2
    努力で得られる報酬は、「目標との距離」と「時間」を掛け合わせた4つの類型に分けられる。報酬はすぐに手に入るものだけではなく、予想外のものや時間差で得られるものもある。
  • 要点
    3
    努力と報酬の因果関係は曖昧であるため、人はそれぞれの経験則からロジックをつくり出している。この経験則を「努力神話」と呼ぶ。努力神話は「努力と報酬の相関の強さ」と「不確実性の大きさ」から、9つの型に分類できる。

要約

「努力」を構造化する

努力には「目標」が必要

努力を語るうえで欠かせないのが「目標」だ。目標なくして努力はない。目標が高いほど努力すべき行為の範囲が広がり、低いほど努力は限定的になる。

たとえば、「期末テストの社会科でクラスの平均点以上を取る」という目標に対して考えられる努力は、「試験範囲を理解してきちんと勉強すること」「体調を整えること」くらいだろう。一方、会社員が「1年以内に起業する」という目標を掲げた場合は、「資金を集める」「ビジネスモデルを考え抜く」「人脈をつくる」など、多様な努力が考えられる。目標をどう定めるかによって、努力のバリエーションは大きく変わってくるのだ。

目標が高いと、努力のバリエーションが増える。それゆえに、闇雲に何かに励むのではなく、どの努力を優先するか、どこまで努力するかといったことまでが論点となる。

努力は「4階建ての建物」
P.44(クロスメディア・パブリッシング提供)

私たちはレイヤーの異なる多種多様な頑張りを、「努力」という言葉でひとくくりにしている。「努力している・していない」という議論がすれ違うのは、多くの場合、どのレイヤーの努力を指しているかにズレがあるからだ。

努力は4つに分類できる。より具体的なものから順に「量の努力」「質の努力」「設計の努力」「選択の努力」となる。

まず「量の努力」は、目標達成のために決めたことを繰り返し、回数を重ねてやり切る行為だ。私たちが努力を語る際は、これを念頭に語ることが多い。

次の「質の努力」は、行動の結果や他者からのフィードバックから学びながら、どのように行動を改善していくかを考える行為だ。闇雲に量を重ねるのではなく、よりよい方法を取り入れて改善することに重きを置く。

「設計の努力」は、目標に立ち返って俯瞰的な思考を深める行為だ。今行っている行為を俯瞰し、その他のオプションを洗い出したり、リソース配分や全体像を考えたりする。

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要約公開日 2025.07.28
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