「ToDoリスト」は捨てていい。

時間も心も消耗しない仕事術
未読
「ToDoリスト」は捨てていい。
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時間も心も消耗しない仕事術
未読
「ToDoリスト」は捨てていい。
出版社
出版日
2024年07月31日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

仕事に行き詰まり、タスクが溢れかえったとき、多くの人は、効率アップのための工夫を求めるものだ。優先度をつけてやるべきことを終わらせようという定番のアドバイスに沿って、ToDoリストを作ったことのある人も多いはずだ。だが、やると決めたリストが全然できなくて自己嫌悪に陥ってしまった経験がある人も少なくないはずだ。

著者である佐々木正悟氏も、かつては「時間をうまく使う」「仕事のやる気を出す」といったテーマでビジネス書を書いてきた。しかし、本書で著者は、うまく作った計画やタスクリストは実行できるはずだ、それを完遂するのは良いことだという前提自体が間違っているのではないかと問いかける。計画やリストには必ず「期待」や「欲望」が込められる。それがうまく進められないときに必要なのは、計画を練り直すことではない。現実を受け入れることだ。終わらせられた仕事だけが現実に終わらせられる分量なのだから、現実的とはいえない仕事の達成や生活環境を実現しようとする「欲の深さ」は捨てなければならない。

現代の人々は未来を見据えて生きている。要約者自身も「できる人間」だと思われたいがために、先の未来を考えながら今を生きている。しかし、本書を読んで、未来予知ができるわけでもないのに、将来のことに時間や心を消耗しすぎることは、いささか滑稽だと感じた。不確かな未来に備えるばかりが人生ではない。目の前のことを着実に達成し、そこに喜びを見出すことこそ、豊かな人生といえるのではないだろうか。

著者

佐々木正悟(ささきしょうご)
1973年北海道生まれ。タスクシュート協会理事。ビジネス書作家。1997年獨協大学外国語学部を卒業。2004年AvilaUniversity心理学部卒業。2022年タスク管理・時間管理術であるタスクシュートの普及と、自分らしい時間的豊かさの提唱を目的として「一般社団法人タスクシュート協会」を設立。タスクシュートのユーザー数は、25000人を超える。著書に、ベストセラーとなったハックシリーズ『スピードハックス』『チームハックス』(日本実業出版社)のほか、『iPhone情報整理術』(技術評論社)、『イラスト図解先送りせず「すぐやる人」になる100の方法』(KADOKAWA)、『クラウド時代のタスク管理の技術』(東洋経済新報社)、『なぜ、仕事が予定どおりに終わらないのか?』(技術評論社)、『やめられなくなる、小さな習慣』(ソーテック社)、『人生100年時代不安ゼロで生きる技術』(三笠書房)、『先送り0』(技術評論社)など。ポッドキャスト「働く人に贈る精神分析チャット(グッドモーニングポイス)」を平日にSpotifyから配信中。

本書の要点

  • 要点
    1
    時間が足りないとよく言うが、時間はなくならない。「時間はいくらでも使える感覚」で仕事をしたほうが、心に余裕ができて、グンと仕事を進められる。
  • 要点
    2
    綿密な長期計画を立てるよりも、デイリーリストにその日必ずやることを書き出して、実行順に並べ替えるほうがおすすめだ。それだけで、やるべきことに焦る気持ちを落ち着けることができる。
  • 要点
    3
    いまから着手しても、もう「早い」とは言えなくなってしまったタスクであっても、今日に焦点を当てて考えれば、いますぐ着手するのが最善だ。

要約

【必読ポイント!】 「時間がない」という“考え方”をやめる

「間に合うはず」と考えるのをやめると疲れなくなる
airdone/gettyimages

朝6時前に起きて、身支度をして朝食をとり、最寄駅を午前7時50分に発車する電車に乗れるだろうか。出発までおよそ2時間もあるのだから、余裕だと思うかもしれない。ところが、実際にやることをリストアップして、それぞれの所要時間を足していくと、少しの余裕もないことがわかる。人は、「たんなる足し算」が意外に苦手だ。

決まりきった用事を実行するだけでも、100分先の予測がうまくできないのだから、100日後の締め切りが守れるかなど到底わからない。それなのに、私たちは仕事にかかる時間を見積りたがるうえに、その見積もりは「おおよそ正しい」と信じてしまう傾向がある。

たとえば、著者は自分の行動記録をつけて、1ヶ月で自分が書ける文章量を把握しているが、それを説明しても出版社の人には信じてもらえない。「やればできる」と考えられてしまい、さらにはその信念を覆すことは容易ではないからだ。実際、本書の執筆も「締め切りまでには書き上がらない」と確信して引き受けた。

このように、締め切りに追われて消耗しないためには、時間に余裕を持とうとするだけでは足らない。大事なのは、仕事の約束や締め切りを守れないといったアクシデントが起こったときに、心を消耗しないと決めておくことだ。仕事の見積りが正確なはずはなく、未来の予測はデタラメだと理解していれば、締め切りや時間のことで自分や他人を責めなくて済むようになる。

どんな状況でも、時間はいくらでもある

「時間はなくならない」という主張は、他の主張とは違ってなかなか信じてもらえない。私たちはそれほどまでに、「時間が足りない」という考えを叩き込まれてきているのだ。

しかし、著者は自身の経験から、人生のどんな時期にも「時間がなくなった」経験はなかったと語る。どんなに悲惨な時期や忙殺されていた時期であっても、たとえお金はなくても、時間だけはあったのだ。もちろん、締め切りまでの日数が足りなくて忙しい気持ちに焦った経験はたくさんある。しかし、それは締め切りまでの日数が少ないのであって、時間がないのとは根本的に異なる。たとえ原稿が書き上がらないまま締め切りを迎えても、時間はなくなったりしない。編集さんに不愉快に思われるかもしれないが、原稿を放置して家族でディズニーランドに出かけることだってできる。

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要約公開日 2024.11.27
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