半世紀以上も早起きを続けている著者は、こんなに簡単で効果的な習慣はないと確信している。早起きを習慣化するだけで、自分を変えることができる。これを「朝だけ習慣」と名づけた。「朝だけ習慣」には、毎日を充実させ、人生を好転させる力がある。
朝に気持ちよく目覚めるにも、体の回復のためにも、睡眠が重要であることはみんな知っているはずなのに、その大切な睡眠を軽視する人はとても多い。一日でエネルギーを使い果たして寝落ちしてしまうことを“朝漬け”というそうだが、そんな状態では寝ても疲れはとれず、翌日のパフォーマンスに悪影響を与えてしまう。
【日々新又日新】 (日々新たにして、また日に新たなり)という禅語には、「毎日が新しい日であり、いつも新たな気持ちで、その日、その日を向上させていこう」という意味がある。新しく迎える朝には、あらゆる自然が新しい命を輝かせている。同じように、じゅうぶんな睡眠をとって体の修復と再生を行った人間にも、新しい命が吹き込まれる。昨日とは違う、まっさらな自分になって朝を迎えれば、充実した一日が待っている。これが、結果として人生を好転させるのだ。
早起きをするには、いい睡眠が必要だ。いい睡眠をとるには、就寝前の過ごし方が重要だ。だとすれば、早起きより先に、まずは夜の習慣を整えることをおすすめしたい。これなら早起きが苦手な人でも、気軽に取り組めるはずだ。
心地よい目覚めを実現するためにまず取り入れたいのが、「片づけ」だ。仕事を終えて会社を後にするとき、自分の机はどのような状態だろうか。資料や文房具が散らばっていたり、ゴミが残っていたりする状態で帰宅してはいけない。いい夜は、仕事を終えるときから始まっているのだ。
机まわりの片づけは必須である。ゴミを捨てて、資料や文房具は所定の位置に戻そう。パソコンを消す前にデスクトップも整理し、このとき対応が必要なメールも確認してしまう。それだけで、翌日の出社後に慌てることはなくなる。片づけも、明日の準備と思ってやれば、それほど面倒には感じないはずだ。
片づけは、「今日の仕事はこれでおしまい」と、仕事から頭を切り離す儀式でもある。特に在宅ワークでは、仕事のオンとオフが曖昧になりがちだ。他人の目がないと、つい机まわりもだらしなくなってしまうかもしれない。だが、在宅ワークの人こそ“仕事終わりの儀式”を大切にしたほうがいい。片づけは仕事の終わりではなく、次の仕事の始まりなのだ。
家は心と体をリセットし、エネルギーを回復させるための場所だ。そこに仕事や外でのストレスを持ち込むと家の本来の役割が果たせなくなる。
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