一般的に「起業」というと、個性的でキャラクターの濃い社長が、みんなを巻き込んで大きな事業を創りあげるという様子を想像する。この従来型の「起業」を、本書は「派手な起業」と呼ぶ。
一方で、本書が伝える「地味な起業」は、誰かを応援することで稼ぐ。押し出しの強さも、特別なスキルも必要ないので、始める敷居は低い。加えて、地味な起業はその後のキャリアの幅も広げてくれる。今いる会社で働きつつ、地味な起業を合わせてダブルワークをしてもいいし、地味な起業で得た人脈などを活かして派手な起業をしてもいい。
地味な起業には、すごいアイデアも資格も専門スキルも必要ない。「ウェブデザインができなくて困っている」「宛名書きを手伝ってほしい」というような、世の中に掃いて捨てるほどある、地味な困り事に着目するのが地味な起業である。1万円、2万円、3万円レベルの細かい仕事をコツコツ積み重ねて、実績をつくっていく。会社を設立するわけではなく、個人事業主として税務署に開業届を出しさえすればいいので、元手はゼロ円で始められる。
大切なのは巻き込む力ではなく、巻き込まれる力。いい意味で「受け身」でいればいるほど、いつのまにかいろいろなスキルが身につき、信頼されて大きな仕事をもらえる。
地味な起業は、人によってさまざまなやり方が可能だ。普通の会社員をしている人なら誰でもやったことがあるようなことから、一歩踏み込んだスキルが必要な方法まで、幅広くチャレンジできる。
著者は、わかりやすいように、実践法を「マネジメント系」「クリエイティブ系」「コミュニケーション系」の3つに分類している。この中の1つに取り組んでみるだけでも、すぐに「地味な起業」にチャレンジできるだろう。
1つ目の「マネジメント系」は、数字管理やコツコツした作業が得意な方向けである。人とお金の流れの管理をするため、定期的に数字を報告する仕事が中心となる。
セミナーを開催するときの参加者のリスト管理や、商品の購入者の入金管理などをする「Excelでの数値管理」は難易度が低く、別のいろいろな作業にもひもづきやすいサポートである。
難易度が高いものでは、GoogleやYahoo!などに広告出稿する「広告代行」などがある。しかしこれも「Google広告 出し方」などで検索すれば、とりあえず広告を出すことはできる。プロがやるようなレベルではなくとも、低価格でデジタルマーケティングを手伝ってくれる人は、事業をしている人にとってはありがたい存在である。それに、広告のスキルは、将来本当にやりたいことが見つかったときにも役に立つので、ぜひチャレンジしてみてほしい。
2つ目の「クリエイティブ系」は、モノを作ることが得意な方におすすめだ。動画や画像、スライドなどの作成が主な仕事である。会社の会議資料を作成する感覚で仕事ができ、スキルアップに応じて単価も上がっていきやすい。
難易度が低いのは、チラシやホームページなどに掲載する用途の「画像作成」だ。高度なスキルがなくても、PowerPointやkeynote上で文字を入れて加工するレベルでできる仕事もある。
難易度が上がってくると「スマホ動画作成」や「WEBページ作成」などもある。ある程度のレベルの「なんちゃってホームページ」でも、2〜3万円で作成すれば依頼主には喜んでもらえるし、むしろ「なんちゃってホームページ」を求めている人も多い。どうしても専門的なサイトが求められる場合は、自分はディレクションという立場をとってデザイナーに依頼をする。これについても、クライアントはプロへの依頼の仕方がわからないことも多いので、お金を得ることができる。
また、起業家の代わりにブログやメルマガの文章を書く「ライティング代行」などは、難易度は高いが継続的な受注が可能な仕事である。
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