わかる社会人基礎力

人生100年時代を生き抜く力
未読
わかる社会人基礎力
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人生100年時代を生き抜く力
未読
わかる社会人基礎力
出版社
出版日
2019年11月10日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.5
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

現在、多くの企業が新卒採用で「社会人基礎力」を重視しているという。就活を控えた学生にとっては、ぜひ身につけておきたい能力だろう。とはいえ、実際には「学生の想像する社会人」と「実際の社会人」には乖離がある。社会人を経験していない学生が、「社会人として身につけておくべきこと」を急に語られたところで、ピンとこないというのが現実ではないだろうか。

本書では、就活中の「基礎まなぶ君」が社会人として成長していくストーリーを通じて、社会人基礎力を学べるようになっている。「学生目線」で語られていることもあって、社会人基礎力の重要性や具体的な活かし方が、実にリアルにイメージできる。

社会人基礎力を伸ばすためには、自分を客観視し、理解することが第一歩となる。本書の最後にある「社会人基礎力確認ワーク」をもとに、12の能力要素をセルフチェックしてみよう。それによって、未来の「ありたい自分」に必要なものが見えてくる。将来を考え始め、これから社会人として歩み出す学生におすすめしたい一冊だ。

社会人基礎力の学びは、「身につけたい」と考えた瞬間から始まる。また、若手社員のキャリア支援、人材育成にも大いに参考になる内容だ。キャリアの初期に迷いが生まれたとき、行き詰まりを感じたときにも、本書が理想に近づくためのヒントをくれるだろう。

ライター画像
中山寒稀

著者

島田恭子(しまだ きょうこ)
国際基督教大学卒業。社会人経験後、東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻にて公衆衛生学修士、保健学博士。大学講師や病院でのカウンセリング、メンタルヘルス研修・講演活動を行う。専門は、産業精神保健、対人関係とコミュニケーション。精神保健福祉士(PSW)。

本書の要点

  • 要点
    1
    社会人基礎力とは、多くの仕事において共通する、良い成果を出すためのベースになる「体幹力」を意味する。アクション(前に踏み出す力)、シンキング(考え抜く力)、チームワーク(チームで働く力)の3つの能力、12の能力要素から成り、職業、職種、業種などを問わず適用できる。
  • 要点
    2
    社会人基礎力は「自分の体幹力を測るツール」である。自分の得意な力や持ち味は何か? 今後伸ばしていきたい力はどれか? 自分を振り返り、整理するのに便利なものさしとして活用できる。
  • 要点
    3
    今後、地球規模の課題に多様な仲間と協力して取り組むためには、各自が12の能力要素のうち今は何が必要で、今後何をどう伸ばすべきなのかを的確に振り返りながら、自分らしいキャリアを進めていくことが求められている。

要約

【必読ポイント!】 人生100年時代を生き抜くための社会人基礎力

社会人基礎力は体幹力
west/gettyimages

2006年、経済産業省は「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として、社会人基礎力を提唱した。これは3つの能力に分類され、さらに12の能力要素に分けられる。

まず、「前に踏み出す力(アクション)」として、主体性、働きかけ力、実行力がある。次に、「考え抜く力(シンキング)」は、課題発見力、計画力、創造力から成る。そして、「チームで働く力(チームワーク)」は、発信力、傾聴力、柔軟性、情況把握力、規律性、ストレスコントロール力から構成される。本書では、社会人基礎力を「多くの仕事において共通する、良い成果を出すためにベースになる体幹力」というイメージでとらえている。

自分の将来について真剣に考える人ほど、「大学生のうちに個別の専門スキルを養おう」とするものだ。しかし、専門スキルは、実践を通して身につけることが重要視されている。企業側は、大学生のうちに身につけてほしいと考えている能力として、主体性や粘り強さ、チームワーク、コミュニケーション力などを挙げている。まさに社会人基礎力といえる。

社会人基礎力の各能力要素は、日々意識し、試行錯誤を重ねて少しずつ培っていくものといえよう。対人関係、部活、バイトなどで、社会人基礎力の要素を意識して行動していくのだ。もちろん、社会人になってから業務を通じてそれらを身につけることも可能だ。しかし、自分の思考や行動を振り返る時間をとりやすい学生のうちにこそ、時間をかけて社会人基礎力を高めていくのが理想的だ。

より良いキャリアライフを歩むためのツール

社会人基礎力を構成する3つの能力とは何か。まずは、目的を設定し、現状とのギャップとそれを埋めるための計画について考え抜く力(シンキング)。考え抜いた末に、その目的を達成すべく、主体的に行動する力(アクション)。そして、多様なメンバーとともに、互いを柔軟に受け入れ、周囲の様子を把握しながら目的を実行していく力(チームワーク)だ。

社会人基礎力の12の能力要素は、いずれも社会人にとって大切な要素であるが、すべてに秀でている必要はない。これらを、「自らを測定するものさし」として活用するとよい。自分の得意な力や持ち味は何か。今の組織は自分にどの力を求めているのか。こうした点について、自身を振り返ることができる便利なツールなのだ。社会人基礎力は、職業、職種、業種、職位、外資・日系の別を問わず適用が可能である。

生産年齢人口の減少、第四次産業革命やSociery5.0と呼ばれる世界的な技術革新に伴い、日本は大きく変化している。そんな激動の時代の中で、私たちのキャリアライフはこれまで以上に長くなっていく。自分のスキル・強みを生かした、多様なキャリアライフを柔軟に歩んでいくうえで、社会人基礎力の各能力要素が大切になるのだ。

社会のルールや人との約束を守る力「規律性」

組織の一員として迷惑をかけない能力
PATCHARIN SAENLAKON/gettyimages

本要約では、12の能力要素のうち、「規律性」「創造性」について紹介する。

まず、規律性の奥義は、「社会人としてのマナーを身につけ、周りに迷惑をかけないビジネスパーソンになるべし!」ということだ。規律性は「チームで働く力(チームワーク)」の能力に分類されている。

組織の一員として働くうえで、規律性を守ることが、組織の成長や業績の達成を促すベースとなる。むかで競争のように、メンバーの一人でも、先頭の人と違う方向に行こうとすると、進みが遅くなる。「自分一人くらい」という考えが、組織全体のパフォーマンス低下に影響してしまう。つまり規律性とは、大人としてのマナーであるだけでなく、組織の一員として迷惑をかけない能力だといえる。

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要約公開日 2020.02.25
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