著者は人生のどん底を二度経験している。一度目は20歳のときに事故に遭ったことだ。飲酒運転のトラックと正面衝突して心肺停止。生死の境をさまよった。
二度目は経済苦とうつだ。事故から生還してからは、仕事の調子もよく、ベストセラーも出した。だが、2007年に米国経済が破たんすると、収入は激減。40万ドル以上の負債を抱え、うつ状態に陥った。
人生の転機は、友人からの「ストレスを感じたときは走るといい」というアドバイスによってもたらされる。もともと走るのが嫌いだった著者は、一度は拒んだものの、友人から「どっちの方が嫌いなんだ? 走るのと、現状の人生と」と問われ、嫌々ながらも走ることを決める。
ランニング中にオーディオブックに耳を傾けていると、それまでピンとこなかった言葉が突然すとんと理解できた。朝のジョギングという行為により心のスイッチが入り、そのような感覚が得られたのだ。この気づきを契機として、著者の人生は変わっていく。
自分の能力を最大限生かし、最高の人生を生きる。これはすべての人にとっての共通の願いであり、同時に人類史上最大の難関でもある。
アメリカ社会保障局が、働き始めから40年間でどのような軌跡をたどるのか、100人の追跡調査を行ったところ、結果は次のようになったという。「裕福な人」1人、「経済的に安定している人」4人、「何らかの事情でしかたなく働き続けている人」5人、「死亡した人」35人、「経済的に困難で友人家族親せきや政府の世話になっている人」54人。つまり、金銭面において自由を手に入れたのは、全体のわずか5%にすぎない。言い換えれば、95%の人は望み通りの人生を送れておらず、何らかの妥協や苦労を強いられる日々を暮らしている。
では、なぜ人生は思い通りにいかず、月並みなものになってしまうのか。著者はその原因を7つ挙げている。
そのひとつが「バックミラー症候群」と呼ばれるものだ。人間は無意識のうちに、バックミラーを使って過去を見る。「昔の自分の姿」を「今の姿」だと思い込み、それを基準に据えて自分の限界を決めてしまう。
「物事のつながりを無視する」も原因のひとつだ。人生は過去から現在、現在から未来へとつながっていく。そのつながりを無視すると後で痛い目をみるかもしれない。
たとえば、ワークアウトを1日さぼる、プロジェクトを先延ばしにする、ファストフードを夜に食べる。こういったことを「たいしたことない、明日挽回すればいい」と考えるのは、大きな間違いだ。あなたが思うこと、選ぶこと、行動することが、未来をつくっているからだ。毎回「正しい道」ではなく「ラクな道」を選んでいれば、それがあなたのアイデンティティや人柄になっていく。
覚えておいてほしいのは、「なりたい自分の姿」のほうが「今何をするか」よりはるかに大切であること。「今何をするか」が「未来の自分の姿」を決めるのだ。
「スヌーズボタンを押すのは敗北宣言だ」という格言がある。「もう時間か。起きるのはイヤだなあ」と思うのは、「自分の人生がイヤだ、頑張るのがイヤだ」と宣言しているようなものだ。
「起きたい気分」になるためには、5つのステップを踏むといい。寝る前に「毎朝、前向きな意志を持ち、なりたい自分を実現する」という決意を持って眠る(ステップ1)。アラーム時計はベッドから遠ざけて、物理的にベッドから出やすい環境をつくる(ステップ2)。ベッドから出たら洗面所へ直行して歯を磨き、身体を目覚めさせる(ステップ3)。コップ一杯の水を飲み、眠っている間に不足した水分を補給する(ステップ4)。運動ができる服に着替える(ステップ5)。
明日の朝に向けて前向きな気持ちを整え、アラーム時計をベッドから離し、サイドテーブルにコップ1杯の水を準備して寝れば、翌朝の行動がスムーズに進むし、頭も早くスッキリする。あとはモーニングメソッドを実践するのみだ。
多くの人は、豊かで充実した人生を送れていない。そこで著者は、自分の潜在能力の強大なパワーにアクセスし、人生のあらゆる分野を改善し、変化させ、変身させる6つの習慣を提案する。これこそが「モーニングメソッド」である。
最初のメソッドは
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