質問に対して、幼稚な感想しか言えない人がいる。仕事で講演会に行ったとして、上司から「講演会はどうだった?」と問われたときに、「おもしろかったです」としか答えられないような人だ。
上司からの「どうだった?」は、「きちんと報告しなさい」という意味だ。「講演会で何を発見したのか」という具体的な情報を求めている。
そんなときはまず、ひと言で話の方向性を伝えよう。ポイントは、知的な表現を選ぶことだ。「盛り上がりました」という言葉を「盛況でした」と言い換えてみると、幼稚な印象が消える。「首尾よくまとまりました」「盤石です」「ご立腹です」も便利なフレーズだ。
最初のひと言は、新聞記事の大見出しのようなものと考えればよい。「五輪開幕」「首脳会談成功」「ロケット打ち上げ延期」など、新聞記事は必ず内容がひと目でわかるキャッチーなフレーズではじまる。この大見出しがあるから、読者はできごとを予測しながら記事を読んでいけるのだ。口頭での報告も同様である。
話の方向性を簡単にまとめたら、自分なりの要約を続ける。「A社のパーティはどうだった?」「盛況でした。著名なゲストのトークコーナーもあり、例のM&Aの裏話も聞けました」といった具合だ。
主観だけでは幼稚だが、いきなり詳細な報告をはじめると、相手は話の先が見えずに戸惑う。「話の方向性を示す」+「ポイントを絞ってコンパクトにまとめる」の流れにすると、スマートかつわかりやすい報告になるはずだ。
会話を広げるのが苦手な人は、相手の質問に対し、正しい情報を端的に伝えるのがベストだと思い込んでいる。たとえば次のようなやり取りだ。
「昨日の会議、結局どれくらいかかった?」
「フツーにいつも通りでした」
「そう。じゃあ、1時間くらい?」
「そうです」
「でも例の案件はまた解決しなかったんでしょう?」
「しませんでした」
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