誰しも、勝ち負けにこだわりすぎると疲れてしまうものだ。「つい、あの人の動向が気になってしまう」「あの人が活躍している姿を見ると、微妙に心がザワザワする」ときには、「鏡」のことを考えてみてほしい。つまり、自分のことだけを見るようにするのだ。
老子の言葉に「人に勝つ者は力有り。自ら勝つ者は強し」というものがある。これは「人に勝つ人というのは力(権力、経済力、腕力)がある。しかし、本当に強いのは、『自分の弱さに勝つ人』だ」といった意味合いだ。
他人に勝つよりずっとむずかしいのは自分に勝つことだ。自分の弱さを見つめ、自分の置かれた状況を知り、それに不満を持たず、欲を出すこともない。老子によると、これができる人こそ、真に強い人だ。
「そうは言っても、やっぱり社会では他人に勝たないと始まらないよ」と思う方もいるだろう。だが、必ずしも競争に参加する必要はない。今後の人生を誰かと競いながら過ごすかどうか、いま一度、自分に問いかけてみてほしい。
そもそも「勝ち負け」という概念自体があやしいものだ。負けがあるから勝ちがあるし、勝ちがあるから負けがある。どちらもなければ、ただ自然な状態があるだけだ。
他人と自分を比べて「勝った」「負けた」と右往左往する前に、鏡を出して自分の顔をまっすぐ見つめてみてほしい。競い合うべき相手はあなた自身だ。
誰かの成功に焦ったり、嫉んだり、自分を情けなく感じたりしたときは「足湯」のことを考えてみてほしい。足湯は低い位置にあるが、それでも人がどんどん集まってくる。
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