読むだけで数字センスがみるみるよくなる本
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出版社
出版日
2024年12月05日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

「とても信じられない」というのが、タイトルを見たときの感想だ。

要約者は「いわゆる文系」「計算が苦手」「数学の成績が悪かった」「数字を前にすると思考停止する」という、本書の中に登場する「数字が苦手(と思っている人)」の条件をすべて満たしている自覚がある。そんなに簡単に数字に強くなれるなら、苦労はしていない。要約者のように「数字が苦手」な人ならば、同じように思うだろう。

そもそも「数字に強い」とはどういうことか。著者によれば、「数字センス」とは「数字を言葉として扱う感覚」なのだという。数字を、「コミュニケーションや思考に使う言語として扱う」という感覚が、「数字センス」なのだそうだ。また、「数字センス」は感覚であるため、環境づくりによって、いつからでも身につけることができるのだと著者は語る。ポイントは、1分間のスキマ時間に「イイ気分」で遊ぶこと。これを継続的に行うことで、楽しみながら「数字センス」が磨かれていくとのことだ。

はじめは「そんなこと言ったって……」という気持ちが膨れ上がってきそうになるが、じっくりと読み進めるにしたがって、徐々に「これなら自分にもできるかもしれない」と思えてくる。「なんとなくイヤなもの」だった数字が意味のわかるものになっていき、計算によって何をしているのかがわかってくると、不思議と数字への苦手意識がしぼんでいく。まだ胸を張って「数字が得意です!」と宣言できるほどではないが、数字との距離は目に見えて縮まった。

「数字が苦手」な同志は、騙されたと思って読んでみてほしい。

ライター画像
千葉佳奈美

著者

深沢真太郎(ふかさわ しんたろう)
ビジネス数学教育家。明治大学客員研究員。BMコンサルティング株式会社代表取締役。一般社団法人日本ビジネス数学協会代表理事。数字に強いロジカルパーソンを育成する「ビジネス数学教育」を提唱する人材育成の専門家。日本大学大学院総合基礎科学研究科修了。理学修士(数学)。初のビジネス数学検定1級AAA認定者であり、日本数学検定協会が認定する国内唯一のビジネス数学エグゼクティブインストラクター。大学院卒業後、教育業界、ファッション業界を経て「ビジネス数学教育」というコンセプトを考案。会社員、教員、アスリートなどこれまで2万人以上に研修を行い、「数字が苦手な私でも楽しく学べた」「数字センスが身についた!」など、喜びの声が多数届いている。また、その傍ら「ビジネス数学インストラクター制度」を構築し、講師育成にも従事。今後もビジネス数学教育を広めることで、精神的にも経済的にも豊かな職業人で溢れる世の中にすることを目指している。著書に『数学的に考える力をつける本』(三笠書房《知的生きかた文庫》)、『「数学的」な仕事術大全』(東洋経済新報社)など多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    「自分は数字が苦手なタイプ」というのは思い込みに過ぎない。数字を見ることで数字にまつわる不快な記憶がよみがえっているだけで、数字そのものが不快なのではない。
  • 要点
    2
    「数字センス」とは感覚である。感覚は環境によって培われるものであるため、環境づくりによって「数字センス」はいつからでも身につけることができる。
  • 要点
    3
    「数字センス」を身につけるには、1分間のスキマ時間を使って、数字で遊ぶことだ。遊びを通じて数字に触れる時間を継続的に持つことで、「数字センス」が磨かれる。

要約

【必読ポイント!】 あなたは本当に「数字が苦手」なのか?

「数字が苦手なタイプ」は思い込み

3・14

あなたはこの数字から何を連想するだろうか。もしかしたら「円周率」を想起したかもしれない。数学が苦手だった人なら、それとともに嫌な記憶がよみがえってきたことだろう。

しかし、この数字から3月14日、「ホワイトデー」を連想したとしたらどうだろう。その人は、お菓子やパートナーのこと、あるいは初恋の記憶を思い出し、少しイイ気分になるかもしれない。

自分の誕生日の数字やゾロ目など、誰にでもなにかしら好きな数字はあるはずだ。つまり、あなたは数字そのものが不快なのではなく、数字に対するかつての不快な記憶がよみがえっているだけなのだ。自分のことを「数字が苦手なタイプ」と思っているとしたら、それは思い込みに過ぎない。

大切なのは、イイ気分で数字に接することだ。遊び心をもって数字に接する時間を多く持つことで、あなたはきっと数字への苦手意識を克服できる。

数字センスは「数字を言葉として扱う感覚」
wildpixel/gettyimages

本書の定義する数字センスとは、「数字をコトバとして扱う感覚」である。重要な用語である「コトバ」と「感覚」について丁寧に説明していこう。

まず、「コトバ」とは言語のことだ。数字とは言語なのである。私たちが言語を使うのは、コミュニケーションをとるときと、考えているときだ。つまり、数字とはコミュニケーションと思考に使う言語であるということだ。

「感覚」をあえて定義するならば、「物事の捉え方・感じ方」ということになるだろう。重要なのは、感じ方は一生変わらないものではなく、いくらでも変化するものだということだ。たとえば、子どもの頃と大人になってからでは同じ1年でも長さの感じ方が違う。

数字センスは持って生まれた人だけのものではない。大人になった今からでも身につけられるものなのだ。

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要約公開日 2025.02.05
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