キャリアデザインの際に知っておきたいのは、今の時代、会社はあなたを十分に育ててくれないという事実だ。
これまで日本企業の育成は2つの転機を迎えた。1つ目は、2007年に内閣府が発表した青少年白書に、若手の早期離職の問題が掲載されたことだ。就職氷河期が長期化していた当時、政府は無職や非正規の若者を就職しやすくしようと介入を始めた。
2つ目の転機は、2010年代に社会問題化した「ブラック企業問題」である。若者雇用促進法・働き方改革関連法の成立を通じて、政府は若手と会社の関係性に対し、さらに強く介入していった。その結果、2020年頃より急速に顕在化したのが、「ゆるい職場」という新しい職場のあり方である。ゆるい職場は、若者の期待や能力に対して、成長できる機会や経験が乏しい職場を意味する。
ゆるい職場によって生まれたのが、時間の余白と心の余白の食い違いである。24歳以下の就業者の月間労働時間は、2013年から2023年にかけて約20時間減少し、時間の余白が生まれた。ところが、時間に余裕ができた若手の不安は増幅する傾向にある。
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