人間には「できる人」と「できない人」がいるのではない。「できる人」と「まだできていない人」がいるだけだ。
「まだできていないメンバー」を「できるメンバー」に変えるには、スキル差が生まれる土台となる「育つ力」を育てる必要がある。「育つ力」が上がれば、その先のスキルは自然と身につく。一方、「育つ力」という土台を整えないまま単発の人材育成を続けても、メンバーは育たないままだ。
次項より、メンバーの「育つ力」を育てる5つのステップを解説していく。
変化が激しく先行きが不透明な時代には、キャリアの目標「私は~になりたい(becoming)」の前に、キャリアの目的「私はいつでも~という存在でありたい(being)」を描くことが必要不可欠だ。
そこでマネジャーには、メンバー自身の軸となる「being」を一緒に探求する場として「キャリアの目的対話」を行うことが求められる。キャリアの目的についてマネジャーとメンバーで対話するプロセスを通して、お互いの理解が深まり、相互信頼が築かれる。
「キャリアの目的対話」には3つの段階がある。
段階(1)では、「キャリアの目的」について互いに正しく理解する。「キャリアの目的」の定義や、描くことの意義を伝えよう。「キャリアの目標」と「キャリアの目的」の違いについては、「病気に苦しむ人を助ける存在でいたい」(目的)、「大人になったら、お医者さんになりたい!」(目標)の例を用いるとわかりやすいだろう。「医師になる」という「キャリアの目標」がかなわなくても、「キャリアの目的」に立ち返ることで、「薬をつくる」「医療機器をつくる」「カウンセラーになる」など、キャリアの可能性を広げられる。
段階(2)では、2つの方法を用いて「キャリアの目的」を一緒に探求していく。
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