なぜ部下は不安で不満で無関心なのか

メンバーの「育つ力」を育てるマネジメント
未読
なぜ部下は不安で不満で無関心なのか
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メンバーの「育つ力」を育てるマネジメント
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なぜ部下は不安で不満で無関心なのか
出版社
日本経済新聞出版

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出版日
2024年11月13日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

チーム力向上のためにも、各自の今後のキャリアのためにも、メンバーにはもう一皮むけてもらいたいと思っている。だがメンバーたちは挑戦に消極的で、いつも同じ方法で仕事に取り組み、同じような成果しか出せないでいる。いったいどうすれば挑戦を促せるのだろうか――。本書はそんな悩みを抱えるマネジャーのための本だ。

著者の片岡裕司氏と山中健司氏は、人と組織の変革を支援するコンサルティング会社、株式会社ジェイフールのコンサルタントだ。片岡氏は本書の「はじめに」において、コンサルタントの現場でメンバーの声を丁寧に深掘りしていくと、多くの人が「不満」を口にするが、その奥底には「不安」が見えてくると書いている。

メンバーたちはどんな不安を抱えているのか。答えは、人生100年時代において、自分がずっと市場価値のある人材でいられるだろうかという「キャリア不安」だ。だからマネジャーは、メンバーが「目の前の仕事で成長している」「今後どのような環境になっても自分自身の成長を通じて乗り越えて行ける」と実感できるよう支援する必要がある。この実感を持てると、メンバーは自走し始めるそうだ。

本書ではその前提のもと、メンバーの「育つ力」を育てる5つのステップが提案される。5つのステップを通してメンバーの「育つ力」を育むことで、「まだできていないメンバー」が「できるメンバー」に変わっていくという。

メンバーの意欲とポテンシャルを引き出してチーム力を向上させたいマネジャーに、一読を勧めたい。メンバーはもちろん、あなた自身もマネジャーとして一回りも二回りも成長できるはずだ。

著者

片岡裕司(かたおか ゆうじ)
株式会社ジェイフィール 代表取締役コンサルタント、多摩大学大学院客員教授、日本女子大学非常勤講師、一般社団法人Future Center Alliance Japan理事
アサヒビール株式会社、同社関連会社でのコンサルティング経験を経て独立。ジェイフィール社立ち上げに参画し現在に至る。組織変革プロジェクトやマネジメント層向けの研修講師を担当。著書に『なんとかしたい!「ベテラン社員」がイキイキ動き出すマネジメント』(日本経済新聞出版)、共著に『「目標が持てない時代」のキャリアデザイン』『週イチ・30分の習慣でよみがえる職場』(いずれも日本経済新聞出版)などがある。

山中健司(やまなか けんじ)
株式会社ジェイフィール コンサルタント
アサヒビール株式会社、同社関連会社のコンサルティング部門を経てジェイフィール社に参画。組織風土改革の企画・運営やワークショップのファシリテーション、マネジメント層向けの研修講師など、数多くのプロジェクトを担当。
組織風土改革では「一人ひとりの可能性を引き出す組織づくり」の支援を中心に取り組んでいる。他、共育型ОJTをはじめとするプログラム開発や映像ツールの開発等も担当。
多摩大学大学院博士課程前期修了(MBA)。

本書の要点

  • 要点
    1
    マネジャーは、メンバーとの対話を通して、メンバー自身が「キャリアの目的」を描く手助けをする必要がある。このプロセスを通して、お互いの理解が深まり、相互信頼を築ける。
  • 要点
    2
    メンバーが自身の持ち味を活かせるように支援するのも、マネジャーの仕事だ。持ち味を活かせると、自己肯定感が育まれ、主体的に動けるようになる。
  • 要点
    3
    メンバーが行動を起こせない要因の1つに「自己効力感の不足」がある。メンバーの自己効力感を育むためには、成功体験を積ませるとともに、成長思考の醸成を支援することが大切だ。

要約

部下の「育つ力」を育てる

「できない人」ではなく「まだできていない人」

人間には「できる人」と「できない人」がいるのではない。「できる人」と「まだできていない人」がいるだけだ。

「まだできていないメンバー」を「できるメンバー」に変えるには、スキル差が生まれる土台となる「育つ力」を育てる必要がある。「育つ力」が上がれば、その先のスキルは自然と身につく。一方、「育つ力」という土台を整えないまま単発の人材育成を続けても、メンバーは育たないままだ。

次項より、メンバーの「育つ力」を育てる5つのステップを解説していく。

【必読ポイント!】 ステップ1:「目標のすり合わせ」ではなく「目的を育む」

「キャリアの目的対話」を行う
koumaru/gettyimages

変化が激しく先行きが不透明な時代には、キャリアの目標「私は~になりたい(becoming)」の前に、キャリアの目的「私はいつでも~という存在でありたい(being)」を描くことが必要不可欠だ。

そこでマネジャーには、メンバー自身の軸となる「being」を一緒に探求する場として「キャリアの目的対話」を行うことが求められる。キャリアの目的についてマネジャーとメンバーで対話するプロセスを通して、お互いの理解が深まり、相互信頼が築かれる。

「キャリアの目的対話」には3つの段階がある。

段階(1)では、「キャリアの目的」について互いに正しく理解する。「キャリアの目的」の定義や、描くことの意義を伝えよう。「キャリアの目標」と「キャリアの目的」の違いについては、「病気に苦しむ人を助ける存在でいたい」(目的)、「大人になったら、お医者さんになりたい!」(目標)の例を用いるとわかりやすいだろう。「医師になる」という「キャリアの目標」がかなわなくても、「キャリアの目的」に立ち返ることで、「薬をつくる」「医療機器をつくる」「カウンセラーになる」など、キャリアの可能性を広げられる。

段階(2)では、2つの方法を用いて「キャリアの目的」を一緒に探求していく。

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要約公開日 2025.01.16
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