うまく話さなくていい
うまく話さなくていい
ビジネス会話のトリセツ
著者
うまく話さなくていい
著者
出版社
プレジデント社

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出版日
2024年11月18日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

社会人なら避けて通れない「ビジネス会話」。とはいえ、一言で「ビジネス会話」といっても、会議、商談、プレゼンテーション、1оn1、接待、雑談……と、その範囲は広い。

さらに、商談とプレゼンでは必要とされる技術が違うし、1оn1と雑談も似て異なる。「これは得意だけど、あれは苦手」ということも珍しくない。自分の苦手分野をピンポイントで克服すべく、スキルの向上に取り組んでいる人も多いだろう。

もちろんそれも一案だが、「細部にとらわれるあまり、本質的なことが置き去りになっていないか?」と疑問を投げかけるのは、本書の著者・澤円氏である。「ビジネス会話」も、人と人とのコミュニケーションに変わりない。目先のスキルを磨く前に、まずはその本質を考えるべきではないだろうか。

そもそも、ビジネスには「課題解決」という目的があり、ビジネス上の会話はそこに至るためのプロセスである。話すことでお互いへの理解を深め、前向きなアクションにつなげることで対象に貢献していく。それこそが「ビジネス会話」の役割であるはずだ。「話し方」に気を取られ、肝心の目的が果たせないようなら本末転倒。「うまく話す」ことは必須事項ではないのだ。

本書では「ビジネス会話」の肝となるマインドセットを叩き込み、それを軸にした各種スキルを紹介する。“プレゼンの神”と呼ばれる著者の解説は、非常にわかりやすく納得感がある。“話し方迷子”になっているビジネスパーソン必読の一冊だ。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

澤円(さわ まどか)
株式会社圓窓代表取締役。元日本マイクロソフト業務執行役員。立教大学経済学部卒業後、生命保険会社のIT子会社を経て1997年にマイクロソフト(現日本マイクロソフト)入社。2006年には全世界のマイクロソフト社員のなかで卓越した社員にのみビル・ゲイツ氏が授与する「Chairman’s Award」を受賞した。マイクロソフトテクノロジーセンターセンター長、業務執行役員などを歴任し、2020年に退社。現在は、自身の法人の代表を務めながら、武蔵野大学専任教員、スタートアップ企業の顧問やNPOのメンター、Voicyパーソナリティ、セミナー・講演活動を行うなど幅広く活躍中。著書に『マイクロソフト伝説マネジャーの世界Nо.1プレゼン術』(ダイヤモンド社)、『個人力 やりたいことにわがままになるニューノーマルの働き方』(プレジデント社)、『「疑う」からはじめる。これからの時代を生き抜く思考・行動の源泉』(アスコム)、『「やめる」という選択』(日経BP)、『メタ思考「頭のいい人」の思考法を身につける』(大和書房)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    「ビジネス会話」において「うまく話すこと」はさほど重要ではない。「会話の目的」を明確にし、相手とゴールを共有することが大切だ。
  • 要点
    2
    「正しいこと」はAIが代替してくれる。正解や「言う資格」にとらわれず、自分の意見を堂々と述べよう。
  • 要点
    3
    初対面の相手には積極的に「自己開示」をしよう。顧客と信頼関係を築くには、「この人なら相談できそうだ」と思ってもらわなければならない。
  • 要点
    4
    会議は「未来」について相談する場である。報告・連絡は事前に済ませ、未来へのアクションを生み出す時間にするべきだ。

要約

うまく話さなくていい

「会話の目的」を明確にしよう

ベストセラー『人は話し方が9割』の著者・永松茂久さんは、話し方がうまくなるコツを「好きな人とだけ話すこと」だと述べている。しかし大多数の人は、苦手な人とも話さなければならない状況にあるはずだ。著者自身も「この人はちょっと苦手だな」と思う場面は多々あった。

ビジネスの場など、家族や親しい友人以外と会話をする際は「目的」を持つことが大切だ。目的を持つようにすると相手に貢献できることが見つかりやすく、「ビジネス会話」が成立しやすい。

また、会話を通して相手の価値観を理解できるようになると、自然と好きな気持ちが湧いてくる。その結果、「好きな人と会話をして、なんらかの形で貢献できている」ように感じられるようになる。これは永松さんの言う「コツ」にも通ずるだろう。

ビジネス上のコミュニケーションに課題を感じている人は、「目的」が曖昧なことが多い。「ビジネス会話」でもっとも大事なのは、「会話の目的」を問うことだ。

「ビジネス会話」のマインドセット

大事なのは「自分の意見を話す」こと
west/gettyimages

「ビジネス会話」において、「うまく話せるかどうか」はさほど問題ではない。それよりも「誰が話しているか」が重要だ。「わたしはこう考える」と、「自分の意見を話す」ことに価値があるのだ。

著者は日々、多くのビジネスパーソンと接するなかで、「自分の意見を話す」ことが世代を問わず大きな課題だと感じている。多くの人は「正しいことを言わなければならない」とか「自分にはこんなことを言う資格はない」と考えて、自分の意見を飲み込んでしまっている。だがこれからの時代、「正しいこと」は生成AIが簡単に代替してくれる。さらに「準備してからじゃないと発言してはいけない」と躊躇することは、スピーディーな判断や意思決定の妨げになってしまう。

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要約公開日 2025.01.13
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