ベストセラー『人は話し方が9割』の著者・永松茂久さんは、話し方がうまくなるコツを「好きな人とだけ話すこと」だと述べている。しかし大多数の人は、苦手な人とも話さなければならない状況にあるはずだ。著者自身も「この人はちょっと苦手だな」と思う場面は多々あった。
ビジネスの場など、家族や親しい友人以外と会話をする際は「目的」を持つことが大切だ。目的を持つようにすると相手に貢献できることが見つかりやすく、「ビジネス会話」が成立しやすい。
また、会話を通して相手の価値観を理解できるようになると、自然と好きな気持ちが湧いてくる。その結果、「好きな人と会話をして、なんらかの形で貢献できている」ように感じられるようになる。これは永松さんの言う「コツ」にも通ずるだろう。
ビジネス上のコミュニケーションに課題を感じている人は、「目的」が曖昧なことが多い。「ビジネス会話」でもっとも大事なのは、「会話の目的」を問うことだ。
「ビジネス会話」において、「うまく話せるかどうか」はさほど問題ではない。それよりも「誰が話しているか」が重要だ。「わたしはこう考える」と、「自分の意見を話す」ことに価値があるのだ。
著者は日々、多くのビジネスパーソンと接するなかで、「自分の意見を話す」ことが世代を問わず大きな課題だと感じている。多くの人は「正しいことを言わなければならない」とか「自分にはこんなことを言う資格はない」と考えて、自分の意見を飲み込んでしまっている。だがこれからの時代、「正しいこと」は生成AIが簡単に代替してくれる。さらに「準備してからじゃないと発言してはいけない」と躊躇することは、スピーディーな判断や意思決定の妨げになってしまう。
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