伝え方で損する人 得する人
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出版社
SBクリエイティブ

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出版日
2024年11月02日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

同じようなシーンで同じようなことを伝えたはずなのに、同僚の言葉は受け入れられて、自分の言葉はスルーされてしまった……そんな経験があるなら、あなたは「伝え方で損する人」なのかもしれない。本書で、得する言葉選びを学んでみてはどうだろう。

本書の著者、藤田卓也氏は、新卒で電通に入社し、コピーライターとして働き始めた。100社以上のコミュニケーション施策を手がけ、CMや新聞広告、ブランド開発、SNSキャンペーンまで幅広く担当してきただけでなく、大学生を対象としてのべ1000名に伝え方を教えている、まさに「伝え方のプロフェッショナル」である。

本書ではそんな藤田氏が、シーンごとに「伝え方で損する人」と「伝え方で得する人」の具体的なフレーズを92種類紹介する一冊だ。

たとえば誰かに仕事をお願いするとき、定番の伝え方は「ぜひ引き受けてほしい」だろう。だが本書によると、これは“損する伝え方”だ。このシーンでの“得する伝え方”は、「誰が適任か悩み抜いた上で、あなたに引き受けてほしい」である。依頼される立場に立ってみると、どちらの依頼を快く引き受けたくなるか、一目瞭然ではないだろうか。

本書を読んでいると、日々のちょっとした一言は、小さなコピーのようなものなのだと気づかされる。本書でプロのコピーライターの知恵を借りれば、あなたも「伝え方で得する人」に生まれ変われるはずだ。

著者

藤田卓也(ふじた たくや)
コピーライター 1987年生まれ。広島県出身。京都大学、東京大学大学院を修了。大学時代には京都学生祭典の実行委員長を務め、京大総長賞を受賞。
2012年に電通入社。理系で言葉を扱うことが苦手だったものの、新卒でコピーライターに配属。コピーライターとして100社以上のコミュニケーション施策を手がけ、言葉を軸にCMや新聞広告はもちろんブランド開発からSNSキャンペーンまで領域を問わず担当。また、電通のサマーインターンシップの講師や東洋大学でのキャリア支援講義なども務め、のべ1000名に伝え方を教えてきた。
主な仕事にIndeed「仕事さがしはIndeed」シリーズや史上初のワンピース実写化となった「麦わらの一味」シリーズ、日本コカ・コーラ「チーム コカ・コーラ」、スタディサプリ「18の問い」、漁師がつくったモーニングコールサービス「FISHERMAN CALL」など。国内ではCM好感度ランキング1位、広告電通賞最優秀賞、ACC賞、TCC新人賞、ADC賞、PRアワードグランプリなど受賞。他にもアジア最大の広告賞であるSpikes Asiaでゴールド賞、世界で最も古い広告デザイン賞のニューヨークADC賞、アジア・パシフィックSABREアワード最優秀賞をはじめ、国内外で20以上のアワードを受賞。最近の仕事に、ファミリーマート「コンビニエンスウェア」ブランドローンチおよびコンセプト、京都髙島屋S・C・専門店ゾーン「T8(ティーエイト)」ネーミング。 現在はLINEヤフー社に所属。

本書の要点

  • 要点
    1
    「添付資料のご確認をお願いします」は「見ていただきたいポイントは次の3つです」といった表現に変えよう。確認してほしい箇所を明確にすることで、相手の時間を節約できる。
  • 要点
    2
    仕事や役割を引き受けてもらいたいときは、「ぜひ引き受けてほしい」ではなく「誰が適任か悩み抜いた上で、あなたに引き受けてほしい」と言ってみるといい。特に相手があまり乗り気でないときには、その人にお願いしたい理由を明確に伝えるべきだ。
  • 要点
    3
    同じミスを繰り返す人には「また同じミスしてるよ」ではなく「前回と今回で変えたところは何?」と問いかけて、成長のきっかけを生み出そう。

要約

「損しない伝え方」の3原則

原則(1)「ポジティブな未来」や「ネガティブな未来」を見せる

あなたが何かを伝えると、相手は「お返し」という形で何か行動を取りたくなる。このシンプルな構図が、伝え方における原点にして王道だ。

とはいえ、あなたがやってほしいことを一方的に伝えるだけでは、相手は「してもらった」と感じないし、お返ししたくもならない。あなたが思い描いているポジティブな未来を伝えることで、相手に「これから起こる未来の中の良い選択肢を教えてもらった」と思わせる必要がある。

ポジティブな未来を見せるのが効果的な場面は、提案を採用してほしいとき、仕事をやってほしいとき、説得するとき、反省を伝えるとき、ダメ出しするとき、励ますときなどだ。伝えにくいことがある場合や、相手にとって一長一短があることを伝えるときには、ポジティブな未来を意識させるとうまくいく。

一方、断りたいとき、改善してほしいとき、指導するとき、交渉したいときなど、「相手はプラスに感じているようだが、こちらは困っている」「相手は特に気にしていないようだが、どうしても伝えたい」ときにはネガティブな未来を示そう。相手はそれを避けるための行動を検討してくれるはずだ。

原則(2)相手の自尊心を満たす
kazuma seki/gettyimages

伝える場面においては、まず相手の自尊心を傷つけないことを最優先すべきだ。自尊心とは、プライド、こだわり、信念、流儀、持論、成功体験とも言い換えられる。

ポイントとなるのは、自尊心を“相手と一緒に”満たすという心がけだ。相手がコストにこだわっているのなら、コストパフォーマンスに優れたプランを一緒に考えていく。ワークライフバランスを大切にしているなら、あなたも働き方を変えてみる。あなたが積極的に動けば、相手も動いてくれるだろう。

その人の自尊心は難しい仕事や大変な状況のときほど表れやすい。「あのプロジェクトで、重視したポイントは何だったのですか?」「最終段階でA案とB案があったと思いますが、決め手はどこでしたか?」などと具体的な事例を交えながら質問すると、相手の自尊心を満たすポイントを見つけやすくなる。

原則(3)ハードルは小さくする

相手に動いてもらいたいなら、ハードルはできるだけ小さくしよう。

「議事録のクオリティを上げてくれ」ではなく、「スマホで会議をまるっと録音してみようか」。「コストダウンしてくれ」ではなく、「この項目の費用をリストアップしてみよう」。これくらいハードルが低ければ、相手は拍子抜けしながら動いてくれる。

いくつかの選択肢を示し、相手に選んでもらうのもよいだろう。特に相手が決断しなければならない場面では、複数の選択肢を用意することで、相手の負担を軽減できる。

「今日中に資料の提出が間に合わないので、明日にさせてください」ではなく、「総括の3ページだけで良ければ、今日中に仕上げられます。もしくは全体を明日16時までに完成させるか、どちらがよいでしょうか」。「新商品のためのデジタルキャンペーンをご提案させてください」ではなく、「最新事例のご紹介もできますし、御社の業界を専門としているアナリストをご紹介することも可能です」といった具合だ。

【必読ポイント!】 「お願い」で損する人 得する人

基本の考え方

お願いをする場面では、「仕事なんだから、頼み事はやってもらって当然だ」というマインドは捨てて、自分も相手に何か提供できないかを考えてみよう。

これは、お願いする代わりに別の仕事をするということではない。相手にフィードバックやアドバイス、目標を提供するということだ。相手のスキルに対するポジティブなフィードバックはモチベーションにつながり、短期的で具体的な目標はスムーズなキックオフに役立つ。

相手があなたのお願いに応えるときに役立ちそうなものを探してみよう。

レポート期限を延長してほしいとき
paylessimages/gettyimages

「レポート期限を延長してください」は「時間をいただければ、このレベルまで磨き込めます」に言い換えよう。

ネガティブに見えかねないお願いをする際には、相手にとってのポジティブな未来を見せるのが有効だ。

レポート期限を延長してほしいなら「期限を延長することでどのような利益が生まれるのか」や「どんな未来を回避することができるのか」を具体的に示すと、自分本位に見えかねないお願いが、両者にとってメリットのあるものへと変化する。

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要約公開日 2025.01.08
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