自分のことを「話し下手」だと思っている人は、「〇〇すべき」という思い込みにとらわれている。この「べき」から抜け出すことが、会話上手になるための第一歩だ。
コミュニケーションのサポートをする著者はよく、苦手な人とどうやったらうまく会話ができるかと質問される。著者が前作で伝えた中で一番反響が大きかったのは、会話上手になるには苦手な人と話す時間を極力減らし、自分が話しやすい相手と話す時間を可能な限り増やすことだと伝えた箇所だ。こう聞くと、真面目な人ほど戸惑ってしまうことが多いようだ。もちろん、苦手な人ともうまく話せるに越したことはないが、それはもう少し会話に自信が持てた後に取り組めばいい。ゲームと同じで、初心者がいきなりラスボスに挑んでも勝てないように、会話が苦手なら最初は簡単なところから取り組んで、レベルを上げてから、難しい相手にチャレンジする必要があるのだ。
コミュニケーション能力が高い人は、これまでの会話で成功体験をたくさん積んできている。つまり、自分の話を聞いてくれる人を選んでたくさん話し、自分は会話が得意だと思えるような機会をたくさん持ってきたのだ。会話上手になるのは難しいことではない。好きな人と話して、会話の成功体験を増やそう。
会話が苦手だと思っている人でも、慣れている相手と話すときは緊張せずに話せることが多い。会話が苦手だと思っている人でも、大切な人の力になりたいと思ったときなら、驚くほどいい話ができていることもある。ならば、その人には本来話す力があるということだ。
それなのに、人前に出たり、初対面の人と対峙したりすると話せなくなってしまうのは、スキルではなくメンタルの問題だ。つまり、会話が苦手なのではなく、苦手だと思い込んでいるのが問題なのだ。
人と話をするうえで、まず大切なのは、あなたがいい気分でいられる相手と話し、あなた自身がご機嫌でいることだ。そうすれば、会話の時間はあなたにとって豊かなものになる。人は人生の多くを会話を通したコミュニケーションに費やしている。だからこそ、ふだんの会話の出来が、人生の質を左右するのだ。
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