人間の悩みは、一生なくなることはない。すべての望みが叶って悩みが消えたとしたら、そのとき、周りの人は相当我慢しているはずだ。当然、多くの人から恨みを買っているため、いつかそのツケを払うことになる。
多くの人は「悩みはなくならない」ことを知っている。それでも「すべての悩みがなくなる」ことを望んでしまうのは、心の底に「憎しみ」があるからだ。
このような人たちはすぐに結果を求めて、時間をかけて物事を成就しようとしない。そして、幼児が母親に抱くような「完全な愛」を要求する。彼らは心理的には幼児であり、幼児的願望が満たされていない人たちなのだ。
また、彼らは目の前の現実的な解決法を無視して「ないものねだり」をする。たとえば、結婚後に好きな人ができて離婚したいと願うものの、傷つくのは嫌だし、できれば周りの人に祝福されて離婚したい。そのような非現実的な解決を求める傾向がある。
現実的に対処するには、時間も労力もかかる。そして往々にして、幸せと不幸はセットになってやってくるものだ。
なぜ彼らは本気で悩みを解決しようとしないのか。それは、解決するには現実に直面しないとならないからだ。解決に至る道中には、嫌なことが必ずある。
実際、彼らの多くは解決を望んではいない。愛を求めているだけである。だから、いつまでたっても悩みは解決しない。
一例を挙げると、「頭が痛い」と訴える人に「お医者さんへ行こう」と声をかけても、病院に行こうとしない。そして「痛い、痛い」と言い続ける。これでは周りの人もさじを投げたくなってしまう。
彼らが「頭が痛い」と言い続ける目的は、「生きるのがつらい」ことを訴えるためである。この不満を言い続けるエネルギーは、愛を求めるエネルギーだ。こうして文句を言うことが彼らにとっての救いであり、抑圧された敵意を間接的に表現する手段なのである。
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