今や、企業の社会的価値に共感が得られなければモノやサービスが売れず、人材も集まらない時代になった。こうした時流に合わせて「社会にどのような良い影響を与えているのか」「どんな社会をつくりたいのか」という理念を中心においた「パーパス経営」をする企業が増えている。
パーパス経営をする企業に勤める人は、自社のパーパスに共感し、「自分が世の中に提供したい価値」と「企業が世の中に提供したい価値」に接点がある状態が理想とされている。なぜなら、自分と自社のパーパスに接点があればエンゲージメント(自社に対する愛着や思い入れ)が強くなり、企業とWin-Winの関係を築けるからだ。つまり、企業のみならず個人にもパーパス(どのような価値を世の中に与えたいか)が求められているといえる。
自分に合ったパーパスをつくるには、自分自身の「欲望」「仕事」「価値」を深く考察し、これらの相関関係を見出す必要がある。
「欲望」と「仕事」を結びつける理由は、社会人は仕事の時間が人生の大部分を占めているため、仕事を通して自分の欲望を満たせると効率がよいからだ。ぜひ無理やりにでも欲望と仕事の接点を探してほしい。
欲望を探すときのポイントは、「こんなこと恥ずかしくて書けないよな」や「世間体が悪いから書かないでおこう」とは思わず、自分の心に素直になることだ。著者の場合、「チヤホヤされたい。しかもありのまま一生懸命に生きていたらなんだかチヤホヤされる状態になっていた」といった欲望が思いついた。
欲望を書き出せたら、次に「その欲望をどのように実現したいか」を考える。著者にとって「チヤホヤ」とは、「歩いていたら知らない人から声をかけられる」や「イベントの登壇依頼が殺到する」だ。しかも、自らチヤホヤされにいくのは嫌だから、インフルエンサーになるために努力したり飲み会を企画して人を誘ったりするのは違和感がある。
では、どのようにすれば「ありのまま一生懸命に生きていたらチヤホヤされていた」状態になれるのか。いろいろ考えて出した結論は、「人事のプロフェッショナル」という仕事にコミットして結果を出し、まわりの人から必要とされる人間になることだ。
ここであなたにも「欲望を仕事で満たす方法」について考えてみてほしい。たとえばあなたが「誰にも縛られず、自由に働きたい」という欲望と、それを「趣味であるヨガのインストラクターの活動で実現したい」というビジョンを持っており、動画に出たり本を出したりしたいとしよう。さて、今の仕事や環境でできることはあるだろうか。
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