鬼時短

電通で「残業60%減、成果はアップ」を実現した8鉄則
未読
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電通で「残業60%減、成果はアップ」を実現した8鉄則
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鬼時短
出版社
東洋経済新報社

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出版日
2024年03月12日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

ここ10年の間、「働き方改革」という錦の御旗のもと、多くの企業で業務効率化や時短の取り組みが推進されてきた。一方で、なかなか成果が出ない企業も多いのではないか。経営陣やそのサポートをする方が、本気で「時短」の成果を出すためにはどうすればいいか? 多くの方が気になるこうしたテーマについて指南するのが本書だ。

著者は、2016年から18年まで、社長特命により電通の「労働環境改革」にたずさわってきた。全社の残業時間を60%も削減したというから驚きだ。圧倒的・徹底的な時短、つまりタイトルの「鬼時短」を突きつめた人物といえる。現在はさまざまな企業に時短・業務改革の支援を行っている著者は、「時短は会社が社員に強いているムダをなくすこと」だと強調している。

「鬼時短」の肝は、現場に責任を求めず、経営陣や会社の姿勢にこそ根本的な「ムダ」の原因があるとする考え方だ。そもそもビジネスパーソンの多くは会社が求めるムダに最適化しているにすぎない。本書では、こうした現場の本音に寄り添い、8つの鉄則という形で時短プロジェクトを成功させるための要諦を明らかにする。

読み進むにつれて、「どうすれば現場をモチベートし、組織改革を成し遂げられるのか」について本質的な理解が得られる。今度こそ時短改革で成果を出し、組織のさらなる成長をめざしたいと考える方にとって必読の一冊である。

著者

小柳はじめ(こやなぎ はじめ)
Augmentation Bridge(AB社)代表、元電通「労働環境改革本部」室長。
1965年生まれ、東京大学法学部卒業。1988年電通入社。電通勤務の最後、2016年から18年まで、社長特命により電通自身の「労働環境改革」にたずさわる。全社の労働時間の大幅短縮を達成し、残業時間を60%削減した。削減時間は全社で1カ月当たり10万時間超に及ぶ。
2019年、53歳で電通を早期退職し独立。AB社代表として、数多くの企業に時短・業務改革の支援を続けている。

本書の要点

  • 要点
    1
    時短プロジェクトで経営層が意識すべきなのは、「社長が私欲を訴えなければ、社員に届かない」という点である。
  • 要点
    2
    現場を動かす際には、社長が「現場の主」と真剣に向き合い、納得を得ることが重要となる。
  • 要点
    3
    時短プロジェクトを進める際は、業務を工程単位に分解し、どの業務にどれだけの時間がかかっているかを徹底把握する。現場の「すべて」を肯定しようという姿勢が必要だ。

要約

時短の真の意義と8つの鉄則

時短とは「ワークファスティング」である
Kana Design Image/gettyimages

著者が全ての企業に提案するのは「ワークファスティング(=時短)」である。ファスティングとは断食を意味する。著者は自身の経験から、痩身効果や健康管理の効果だけではなく、「挑戦して、やり遂げた自分を好きになれる」点にこそ断食の魅力を見出している。

企業も、時短プロジェクトを通して成功体験を得ることで、組織文化を変えることができる。労働時間の削減は、KGIやKPIといった定量的な指標で評価することができ、経営陣だけでなく社員もその達成を実感できるからだ。つまり、時短とは業務時間の短縮にとどまらず、自信に満ちた社員を増やし、挑戦の風土を育てる取り組みなのである。

著者は時短だけでなく、多様な「社内改革プロジェクト」を成功に導く鉄則を8つにまとめた。

鉄則1 社長は「私欲」で訴えなければ伝わらない

鉄則2 現場が抵抗する「本当の理由」を理解しよう

鉄則3 現場の主は社長が自分で口説かなくてはいけない

鉄則4 現場の「すべて」を肯定しよう

鉄則5 トラブル処理は「すべて」「自分」で引き受ける覚悟をもつ

鉄則6 改革の「本質的価値」を語ってはいけない

鉄則7 「結果」で納得を得るしかない

鉄則8 「内部統制」という言い訳を封じよう

要約では、これらの鉄則を念頭に、改革を成功に導くための具体的な処方箋の一部を紹介する。

社長は「私欲」で訴えよう

時短プロジェクトで経営層が意識すべきなのは、「社長が私欲を訴えなければ、社員に届かない」という点である。経営者が日常的に発信する内容は、どうしても形式的で画一的になりがちだ。それでは、現場は「建前」「やってる感を出している」としか受け取らない。現場に心から納得してもらうためには、時短が「これだけは必ず実現したい、心の底からの欲求」に基づいたテーマであることを伝えなければならない。

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要約公開日 2025.01.21
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