仕事のできる人がやっている減らす習慣
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出版社
フォレスト出版

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出版日
2024年11月05日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

仕事にはパソコンが欠かせないが、かつてはすべて手作業で行われていた。言わずもがな、パソコンは最強の「効率化」ツールだ。それなのに私たちは相変わらず忙しく、むしろやることは増えるばかりだ。なぜこんなことが起きるのだろうか?

著者はその理由に「効率化と労働時間の短縮は問題が別」であることを挙げる。どんなに作業スピードを上げても仕事の量自体は減らず、どんどん上から降ってくる。だからまず、「仕事を減らす」努力をしようというのが本書の主張だ。

そもそも、著者が「仕事を減らす」ことにたどり着いたのは、自身の経験からだ。新卒で就職した金融機関では、周りから「ご愁傷様」と言われるほど多忙な部署に配属。1週間かかる仕事を1日で終わらせなければならないなど、過酷な日々が続いた。そんな環境で働く中、「どれだけ仕事を速くこなしても、仕事は終わらない」ことに気がついたのだという。

とはいえ、あなたが会社勤めの身であるならば、仕事の量を自分で決めることは難しい。それでも、ムダなやり取りや作業、やり直しの手間などを減らすことで、時間の余白を生み出すことができる。本書ではその理論と手順を科学的エビデンスとともに、丁寧に教えてくれる。

もっと自分の時間がほしい、最小限の努力で成果を出したい、時間も心も余裕のある生活を送りたいという人にうってつけの一冊だ。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

中村一也(なかむら かずや)
1986年京都府生まれ。データサイエンス教育総合研究所、京都精華大学、大阪大谷大学で研究員・講師を務める。経営行動科学学会所属。京都大学経済学部卒業後、金融機関に勤務し、主としてデータ分析業務を担当。退職後、現職。専門はデータドリブンによる生産性の向上。データを活用し、組織の生産性向上および課題解決の支援を行っている。著書に、『7つのゼロ思考』(ぱる出版)、『だから論理少女は嘘をつく』(自由国民社)、『僕が無料の英語マンガで楽にTOEIC900点を取って、映画の英語を字幕なしでリスニングできるワケ』(扶桑社)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    どんなに効率を上げても仕事が減ることはない。「効率化」と「労働時間の短縮」は別問題だ。
  • 要点
    2
    頭の中の思考は無秩序に広がり続ける。思考は「書く」「口に出す」など、頭の外に出すことで整理される。
  • 要点
    3
    忙しいときに仕事を頼まれたら「頼み返す」といい。これにより、自己犠牲による仕事の増加を防ぐことができる。
  • 要点
    4
    仕事のボールはなるべく早く投げ返そう。「ボールがない状態(確認待ち状態)」にすることで、仕事を一時的にゼロにすることができる。
  • 要点
    5
    ダブルチェックは必ずしも複数でやる必要はない。ひとりで行う際は、異なる観点から複数回チェックすることが重要だ。

要約

なぜ「仕事を減らす」べきなのか

スピードを上げても仕事は減らない

私たちは常に時間に追われている。では、仕事のスピードを上げれば早く退勤できるのだろうか?

その答えは「NO」である。なぜなら仕事は無限にあり、早く終わればすぐに次の仕事が降りかかってくるからだ。

仕事にパソコンを使う現代は、従来に比べて格段に効率化が進んでいる。なのに、なぜか労働時間は減らない。この事実からわかることは、「効率化(スピードアップ)」と「労働時間の短縮」は別問題であるということだ。

立教大学の中原淳教授は、日本の職場の特徴として「仕事の無限性」を挙げている。ジョブ型雇用が主流の外国に対し、日本では長らくメンバーシップ型雇用が採用されてきた。ジョブ型雇用では各々のやるべき仕事が明確にされているため、自分の仕事が終わればすぐに帰ることができる。

一方、メンバーシップ型雇用である日本の職場は、「職場の仕事をみんなで分け合っている」状態だ。それぞれの仕事の線引きが不鮮明であり、「職場にある仕事のすべて」を担当する可能性があるということだ。そのため、早上がりすると「誰かに仕事を押し付けること」になってしまうため、職場を出にくいといった現象も起こる。

「忙しいアピール」をしてしまう理由
VectorInspiration/gettyimages

「効率化」と「労働時間の短縮」が別問題だとわかった今、取り組まなければならないのは「やるべきことを減らすこと」だ。

しかし、私たちには予定をぎゅうぎゅうに詰め込んだり、周りの人に「忙しいアピール」をしてしまったりする傾向がある。

コロンビア・ビジネススクールのシルビア・ベレッツァらの研究では、「忙しく時間のない人は、社会から望まれる能力を持っていると認識されやすい」ことが示されている。つまり、忙しいアピールをすることで、「自分は社会から求められている」ことを主張しているのである。私たちを忙しくしているのは、自らの自己顕示欲なのだ。

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要約公開日 2025.02.17
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