速読の達人アン・ジョーンズは、784ページに及ぶハリー・ポッター最終作を47分で読破した。アンのような驚異の速読を一般人が真似することは可能なのだろうか。ここでは、インプットの王道である「読む」を、より速くより効果的に行うスキルについて考えていく。
まず、視野を広くしたり目を速く動かしたりしても、アンのような高速読書はできない。さまざまな研究により、視野の広さや目を動かす速さには限界があることが示されている。
またある実験によると、読書時間のおよそ8割は、目から新しい視覚情報をインプットする作業ではなく、脳が言葉の意味を理解する作業に費やされていることがわかっている。つまり速読の鍵は、目の動かし方ではなく脳の理解力にあるのだ。
アン・ジョーンズのように、驚異的な速読術を身につけた人たちは一体どのように読んでいるのだろうか。
科学的研究によると、速読者たちは「効率的なつまみ読み」を実践している。これは、書いてある文字情報を全て目に入れようとするのではなく、重要そうな部分にだけ注目する読み方だ。
速読者たちは、「つまみ読み」で得られた情報と自分の持っている知識を重ねて、全体の内容を推測している。冒頭のアンの例では、読んだ本がハリー・ポッターであり、前作までの知識があったことも有利に働いたと考えられる。実際、速読者であっても、予備知識のない文章を読んだ後では、理解度テストの点数は普通の人と変わらないという実験結果もある。
つまみ読みのコツは次の3点だ。
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