世界のトップクラスのビジネスパーソンと接する中で、著者が最も衝撃を受けたのは、休日に対する姿勢だった。日本のビジネスパーソンは、休日を、平日の疲れを癒す「休息の時間」と捉えている。一方で、世界のビジネスパーソンにとっては休日こそが人生の中心であり、平日の仕事はその充実した休日を支えるためにあるのだ。
彼らの行動を観察すると、疲れたから休むのではなく、疲れる前に計画的に休んでいることがわかった。日本の多くのビジネスパーソンは、仕事の進捗を見ながら「今週は休めそうだな」「この調子だと休日出勤だな」と判断するのが一般的だろう。ところが世界の一流たちは、週末の休みを前提として仕事を効率的に進める姿勢を貫いている。「休めたら休む」のではなく「休むために仕事をする」という考え方が基本にあるのだ。
自分を疲弊させるまで働いてしまうと、回復に時間がかかるだけでなく、体調を崩すリスクも高まる。その結果、仕事自体が滞ってしまう可能性さえある。
さらに注目すべき点は、彼らの休日の過ごし方だ。日本では土日を疲労回復のための「休息日」と捉える人が多いが、世界のエグゼクティブたちはスポーツや趣味、キャンプ、バーベキューなどを楽しみ、休日をアクティブに過ごしている。日本人が「静」で体を癒すのに対し、世界の一流は「動」を通じたリフレッシュも取り入れているのだ。
著者が執行役員を務めていたマイクロソフトには、約300人ものバイスプレジデントが在籍している。彼らの休日の過ごし方には、共通する大きな特徴が2つあった。
1つ目は、土日を次の1週間を成功させるための「準備期間」と位置付け、自己再生(本来の自分を取り戻すこと)を意識している点である。
もう1つは、スポーツや趣味、家族や友人とのバーベキューやキャンプを楽しむことで、身体・心・脳をリフレッシュし、次の週に向けてエネルギーをチャージしている点だ。
彼らは、休日を楽しむことを通じて、自己再生とエネルギーチャージという2つの目的を達成していた。そして「充実した休日を過ごすことで、仕事の成果が上がる」→「成果が上がれば、休日が楽しくなる」→「休日が楽しくなれば、さらに成果がアップする」というサイクルを作り出し、人生そのものを楽しんでいるように見える。
彼らが休日に実践しているのは、次の5つである。
1つ目は、休日と仕事を切り離すこと。仕事のことを完全に忘れ、スポーツや趣味に没頭することで、身体・心・脳をリセットしている。
2つ目は、エネルギーを再充電して創造性や集中力を高めること。休日を満喫し、ストレスを軽減することで、創造性や集中力を高め、長期的なパフォーマンスの向上を目指している。
3つ目は、デジタルデトックスの時間を作ること。メールやSNSから離れて仕事のプレッシャーを忘れ、リラックスしている。
4つ目は、健康管理を徹底すること。軽い有酸素運動をはじめ、健康的な食事、十分な睡眠、適度な運動が休日のルーティンに組み込まれている。
5つ目は、良好な人間関係を維持すること。家族や親しい友人との時間を大切にし、つながりを深めている。
エグゼクティブたちが目指しているのは「ワーク・ライフ・ハーモニー」(仕事と生活の調和)の実現だ。仕事と私生活を対立するものではなく、相互に支え合う関係と捉え、どちらも高いクオリティを維持しようとしている。その中心的な役割を果たしているのが「休日」なのだ。
世界のトップクラスのビジネスパーソンは、身体やメンタルのコンディションだけでなく、脳を休めることにも細心の注意を払っている。具体的に彼らが実践しているのは、次の5つである。
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