著者の「ライバル」に関する研究は、質問票調査を中心とした定量調査と、直接的な聞き取り(インタビュー)を中心とした定性調査からなる。
質問票調査の対象は20代から40代までの社会人で、対象は1200人。うち、有効な回答が得られた1151人を、質問票調査のサンプル集団とした。
インタビュー調査の第一対象者は、質問票調査と同様、20代から40代の社会人23名だ。加えて、8名の大学生・大学院生にもインタビューを実施した。
研究では、ライバルの有無を「現在いる」「かつていた」「一度もいない」の3タイプに区分した。「現在いる」あるいは「かつていた」人が合わせて約4割。一方で、これまで「一度もいない」人が約6割となった。ライバルが「いる」とした分野で最も多いのは「仕事」だ。
研究では、ライバルの有無と幸福度の関係を調査する設問も設けた。
結果は、「ライバルあり」の方が幸福度が高く、かつ「ライバルに対しポジティブなイメージを持つ」人たちの方が、「ライバルに対しネガティブなイメージを持つ」人たちよりも幸福度が高い。最も差が大きいところでは、「ライバルに対しポジティブな印象を持つ、現在ライバルがいる20代」は「ライバルにネガティブな印象を持つ、一度もライバルがいたことがない20代」と比べて、幸福度が39%も高かった。
「あの人にだけは負けたくない」と「あの人に出会えて本当に良かった」。この相反する感情が、ひとりの人に抱く感情として同居することがある。実際、著者が実施した調査の結果からは、多くの人が誰かひとりのことを「ライバルであり、友でもある」と認識していることが見て取れる。本書ではこのような存在を「好敵手型ライバル」と呼ぶ。
一方、「目標型ライバル」も存在する。相手が抜きんでた人物であるという事実を認めつつ、それでもなお、「いつか追いつきたい」「いずれ肩を並べるようになりたい」と感じている――。そのような存在のことだ。
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