3・14
あなたはこの数字から何を連想するだろうか。もしかしたら「円周率」を想起したかもしれない。数学が苦手だった人なら、それとともに嫌な記憶がよみがえってきたことだろう。
しかし、この数字から3月14日、「ホワイトデー」を連想したとしたらどうだろう。その人は、お菓子やパートナーのこと、あるいは初恋の記憶を思い出し、少しイイ気分になるかもしれない。
自分の誕生日の数字やゾロ目など、誰にでもなにかしら好きな数字はあるはずだ。つまり、あなたは数字そのものが不快なのではなく、数字に対するかつての不快な記憶がよみがえっているだけなのだ。自分のことを「数字が苦手なタイプ」と思っているとしたら、それは思い込みに過ぎない。
大切なのは、イイ気分で数字に接することだ。遊び心をもって数字に接する時間を多く持つことで、あなたはきっと数字への苦手意識を克服できる。
本書の定義する数字センスとは、「数字をコトバとして扱う感覚」である。重要な用語である「コトバ」と「感覚」について丁寧に説明していこう。
まず、「コトバ」とは言語のことだ。数字とは言語なのである。私たちが言語を使うのは、コミュニケーションをとるときと、考えているときだ。つまり、数字とはコミュニケーションと思考に使う言語であるということだ。
「感覚」をあえて定義するならば、「物事の捉え方・感じ方」ということになるだろう。重要なのは、感じ方は一生変わらないものではなく、いくらでも変化するものだということだ。たとえば、子どもの頃と大人になってからでは同じ1年でも長さの感じ方が違う。
数字センスは持って生まれた人だけのものではない。大人になった今からでも身につけられるものなのだ。
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