サイボウズが考えるチームワークとは、メンバー全員が同じ思想のもと一致団結するものではない。人それぞれの個性を尊重しつつ、「100人100通りの働き方」を目指しながら同じ理想に向かうことだ。
「サイボウズ式」は2012年5月、「新しい価値を生み出すチームのための、コラボレーションとITの情報サイト」というコンセプトで始まったオウンドメディアだ。製品の魅力を訴求するのではなく、サイボウズという会社が大事にしているビジョンや価値観を伝えていくことを目指している。サイボウズ製品を買ってもらうには、その機能や価値を伝えるよりも、まずサイボウズを「好きになってもらうこと」が必要だからだ。
立ち上げ当初のサイボウズ式が発信していたのは、ITツールを使ってコミュニケーションしている会社を取材し、主にチームづくりや情報共有、コラボレーションの方法を伝える記事だ。だがあるとき「働き方」に関する記事がネット上で大きな話題を呼んだことをきっかけに、働き方に関する情報を発信するスタンスに変えた。2018年のサイトリニューアル以降テーマにしているのは、「新しい価値を生み出すチームのメディア」だ。
サイボウズでは、単にスキルを持っているだけの人は評価されない。社内で信頼されることや、「この人と一緒にチームを組んで仕事をしたい」と思われることが大切だ。
チームの信頼を得るために求められるのは、特別なスキルでも仕事への情熱でもない。自分に対しても他人に対しても素直であることだ。これはもはや、信頼を得るための絶対条件と言ってもいい。
サイボウズには、新入社員の意見にも、ベテランの意見と同じように素直に耳を傾ける文化が根付いている。若手が成長するにあたっては、意見が素直に聞き入れられる土壌が必要だ。「自分のアイデアが通じるかもしれない」という感覚を持ってもらえば、その認識がチームの資産になっていくはず。それが、著者が編集長としてできるサポートだと考えている。
編集長になりたての頃、著者は「自分が一番頑張って、編集部を引っぱっていこう」と思っていた。その背中を見て、チームがいい方向に進んでくれるはずだと期待していたのだ。だが、どうにもうまくいかない。自分の理想ばかりが先行し、仲間たちがどのように働いて、どんな結果を生み出したいのかを理解していなかったからだ。
著者は当初、いわゆるマイクロマネジメントに終始していた。
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