サンリオピューロランドは、新宿から急行で30分のところにある。確かに、原宿に遊びに行くのと比べると、都心からは少し離れているといえるだろう。業績が良くなかったとき、その原因を立地だと分析した人もいた。しかし、実はこの距離が強みでもある。
よほど近くに住んでいる人でなければ、現地集合・現地解散はせず、待ち合わせをしてからサンリオピューロランドを目指すだろう。新宿から電車で行くならば、サンリオピューロランドに遊びに行く日はきっと家を出る前から楽しみで、新宿からの30分間を長く、待ち遠しく感じるかもしれない。
向かっている間も、今日はどのショーを見ようか、どのキャラクターと一緒に写真を撮ろうかと、サイトを見ながら考えてくれるはずだ。そうすると、その30分間も楽しい1日の第1章として過ごしてもらえるのではないだろうか。
またサンリオピューロランドのある多摩市は、23区から見るとあまり東京らしくなく、それゆえ多摩市を一緒に盛り上げようという気持ちが強い土地柄だ。2002年には多摩センター地区が「ハローキティに会える街」に制定され、2004年にはハローキティが多摩センター親善大使に任命されている。さらに地盤も強く、地震に強い街ランキングではいつも上位だ。
つまりサンリオピューロランドは、遊びに行くにはちょうどいい距離であり、ほかの環境にも恵まれている。遠くて不便と思い込んでしまっていると、良さを見落としてしまう。
サンリオピューロランドのオープンは1990年。若い人にとっては、歴史の教科書で習うような昔のことに思えるかもしれない。
確かにサンリオピューロランドは、どこもかしこもピカピカだというわけではない。でも、清潔で快適な状態を保つための努力はしているし、サンリオピューロランドの古さは、汚いとかくすんでいるとかではない、味のある古さである。古さを悪いことととらえず、あえて古いまま残しているところもある。
たとえば、小さな「工場」が集まったエリアもそのひとつだ。その中には、オープン当初からほとんど変わっていない空間があり、以前はスムーズに動いていた人形の動きも、今や少しカクカクしてしまっている。利益のことだけを考えれば、この空間はショップやカフェに作り替えたほうがいいのかもしれない。でも、
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