何ものにも支配されず、自分の人生をコントロールして生きるには、「資本」についての理解が欠かせない。資本とは、教科書的にいえば、「価値を生む仕組み」のことをいう。新しい商品を作り出す工場や、工場を会社という存在を通して所有するための「株」もまた、資本のひとつである。
あなた自身もまた、資本(人的資本)だ。あなたは、荷物を運ぶ、書類を作る、誰かに知識を教えるなどといった仕事を通して、他の人や社会に対して価値を「生産」している。そして、その役割を果たすほどにお金と時間が手に入り、人生における選択肢や行動範囲が格段に広がるというわけだ。
資本には、人的資本のほか、株や債権といった「金融資本」、不動産や車などの「固定資本」、会社組織やビジネスアイデアといった「事業資本」がある。こうした資本をうまく組み合わせると、一人では到底なし得ないような金銭や幸福を得られる。そのため、自由に生きたいならば、お金を貯めようとするだけではなく、「資本」を増やすことを考えるのも重要だ。
好きなことをやるための障害になりがちなのは、時間とお金だ。ワークライフバランスの重要性が指摘されて久しいにもかかわらず、それが実現しているように思えないのは、多くの人が「ワークとライフ」「お金と時間」をトレードオフの関係で見ているからだろう。ここでもまた、資本が重要になってくる。
たとえば、10万円の食洗機という資本に投資したとしよう。すると毎日皿洗いにかかっていた30分が浮くようになり、その時間でパートに出ることができる。3ヶ月もすれば10万円分を稼ぐことができ、その後は食洗機が壊れるまで、それまで皿洗いに費やしていた時間を空き時間に換えられる。
このように、お金や時間を資本という形に変えて増やしていくと、さらに多くのお金が手に入り、そのお金を使って時間を買うことができる。お金と時間の2者で考えるのではなく、そこに資本を組み合わせて3者のループで考えれば、一気に状況が改善されていく。これが資本主義社会における基本的な考え方だ。
資本主義社会はこれまで3つの段階を経験してきた。国同士が富を争う「国家資本主義」、イノベーションを起こす企業が人類に新しい道を切り拓く「企業資本主義」、そして今日到来した「個人資本主義」だ。
情報革命が起こった今、誰でも売上を上げることができるようになった。企業を経営するかのように、個人が自分の人生を経営する時代になったのだ。
この時代に欠かせないのが、「資本」の存在だ。これまで会社に時間を切り売りしてお金を稼いでいた状態から、クラウドソーシングや家事代行サービスなどの新しいシステムを使って個人がお金を生み出したり、お金で時間を買ったりすることができるようになった。つまり、自分の時間を売らなくてもお金が生まれる「仕組み=資本」を所有し、もっとイノベーティブな仕事や投資に時間を使うことができるのだ。
「会社のために猛烈に働くより、自分の時間を大切にしたい」という人もいるかもしれない。だが、お金の心配をせず、本当に好きなことだけで暮らしたいなら、結果を残して資本を増やさなければならない。
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