やりたいことが見つからない人におすすめなのが「行動ダイアリー」だ。この手法は、認知行動療法の父と呼ばれるアーロン・ベックによって1970年代に考案された。モチベーションの低い人や、自分がなにをしたらいいのかわからない人にぴったりの記録術である。
行動ダイアリーは、3つのステップに分けられる。ステップ1では、その日に取った行動を1時間単位で記録する。ステップ2では、その行動に対して感じた「達成感」と「喜び」のレベルをそれぞれ10点満点で採点する。そしてステップ3として、ある程度の記録がたまったタイミングでダイアリーをながめて、自分がどのような行動に「達成感」や「喜び」を感じているのかを知る。
幸福度は、行動に対する「達成感」と「喜び」のバランスで決まる。このレベルを同じぐらいにすると幸福の総量が上がり、結果的に豊かな人生につながっていく。
「行動ダイアリー」を見てみると、「自分はどのような行動に幸せを感じているのか?」がわかる。自分にとって幸福度が高い行動を増やせば、本当に好きなものに気づくことができるはずだ。
「なんだかやる気が出なくて作業が進まない……」「明日までにやることがあるのに、どうしてもモチベーションがわかない……」といった状況に陥っている人には、心理学者のピーター・ゴルヴィツァーが編み出した「心理対比セッティング」が最適だ。ある研究によれば、達成が難しい作業に「心理対比セッティング」を使うとモチベーションが上がり、達成率が2〜3倍も高くなったという。
心理対比セッティングは、4つのステップで構成される。まず、いまの自分が達成したい目標を書き出す。次に、その目標がなぜ重要なのかを考えて、理由を記入する。「運動を習慣にする」という目標ならば、「健康になりたい」「体力をつけてバリバリ働く」などの理由が挙げられるだろう。次に、設定した目標の障害になりそうなものを書き出す。最後に、その障害の対策を可能な限り詳細にイメージする。障害が「仕事が延びて時間がなくなる」であれば、「時間がなくなった場合は、5分で終わる簡単な運動をする」といった具合だ。
進歩は、どんなに小さくても、モチベーションを高めてくれるものだ。そんな「小さな進歩」を利用する記録法が「クイック・ウィン分析」である。
「クイック・ウィン」は、「小さいけれどスピーディーな成功体験」のことをいう。あえて短期間で小さな成果を出し、プロジェクトの士気を高めていくという考え方だ。
クイック・ウィン分析では、「プロジェクト」「クイック・ウィン」「難易度」「インパクト」「合計スコア」の5つの欄に分かれた記録用紙を使う。「プロジェクト」の欄にはいまの最終ゴールを書き、「クイック・ウィン」の欄にはそのプロジェクトについてもっとも手軽に進捗を実感できそうな行動や結果を、思いつく限り記入する。
「難易度」の欄には、それぞれのクイック・ウィンの難易度を5点満点で採点する。簡単そうなら5点、難しそうなら1点だ。
「インパクト」の欄には、クイック・ウィンを達成した場合、プロジェクトにどれくらいの影響があるかを5点満点でつける。影響が大きそうなら5点、小さそうなら1点としよう。
最後に、「合計スコア」の欄には「難易度」と「インパクト」の点数をかけあわせた数を記入する。
5つの欄を埋められたら、合計スコアの点数が高いものから着手しよう。「小さな進歩」によってモチベーションを維持しつつ、プロジェクトの達成に向かって進んでいけるはずだ。
誰もが避けることができないストレス。ストレス解消法を見つけることも大切だが、その前に、自分が抱えているストレスを正しく把握しておこう。
「ストレス日記」は、自分のストレスを可視化できる記録術だ。
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