ヤバい集中力

1日ブッ通しでアタマが冴えわたる神ライフハック45
未読
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出版社
SBクリエイティブ

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出版日
2019年09月26日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

重要な作業や締め切りが目前に迫っている作業に取り組もうとしたけれど、気がつけばいつの間にか動画を見ていた、メールチェックをしていたという経験はないだろうか?

情報の溢れる現代では、集中力不足に悩んでいる人は多い。だが実は、この悩みは、太古の昔から人類共通のものであったという。要するに、これまで誰も有効な解決法を見つけられていなかったということだ。しかし、人間の基本的システムである本能と理性の特性を理解すれば、誰でも「ヤバい集中力」を発揮することができる。その方法を「獣と調教師」というメタファーを使ってわかりやすく解説してくれるのが本書だ。

著者は10万本もの科学論文を読破したというサイエンスライターである。著者が提唱する方法論は数々の研究結果や臨床テストによって裏づけられたものであり、高い効果が見込まれる。

だが、一つ注意してほしい。本書では「集中力」の正体を根本的に解き明かし、仕組みを暴き、有効な解決法を提示してくれてはいるが、それには反復作業が必須となる。つまり一朝一夕に変化がみえるものではないということだ。

とはいえ要約者は、本書を読んで、自分の未来に一条の光が差し込むような気がした。たとえ時間がかかったとしても、「ヤバい集中力」を発揮できさえすれば「ヤバい成果」しか出ないだろうと思うからだ。そこに至る道は本書に示された。さあ、この道を進むも進まないもあなた次第である。

ライター画像
金井美穂

著者

鈴木 祐(すずき ゆう)
新進気鋭のサイエンスライター。1976年生まれ、慶應義塾大学SFC卒業後、出版社勤務を経て独立。10万本の科学論文の読破と600人を超える海外の学者や専門医へのインタビューを重ねながら、現在はヘルスケアをテーマとした書籍や雑誌の執筆を手がける。近年では、自身のブログ「パレオな男」で心理、健康、科学に関する最新の知見を紹介し続け、3年で月間100万PVを達成。また、ヘルスケア企業などを中心に、科学的なエビデンスの見分け方などを伝える講演なども行っている。『最高の体調』(クロスメディア・パブリッシング)、『超ストレス解消法』(鉄人社)、『パレオダイエットの教科書』(扶桑社)など。

本書の要点

  • 要点
    1
    「集中力」という単一の能力は存在しない。その全体像を把握するためには、人間の心の基本的システムである本能(獣)と理性(調教師)の性質を理解する必要がある。
  • 要点
    2
    「ヤバい集中力」を発揮するには、獣に栄養を与えることが大切だ。脳に良い食品を増やし、悪い食品を減らすことで、脳機能の改善が期待できる。
  • 要点
    3
    「報酬の予感」で獣を作業に夢中にさせ、「マイ儀式」の反復で集中モードを作ることができる。

要約

【必読ポイント!】 集中力の正体

「集中力」など存在しない
Laurence Dutton/gettyimages

いかに気を散らさずに目の前の作業に取り組むか――古より人類が悩み続けてきたこの問いについて考える前に、まず集中力の正体を知っておく必要がある。

たとえば、勉強する場面を例に考えてみよう。テキストを開いたはいいが、いつの間にかメールチェックで30分が経過していたなんてことはないだろうか。作業に取り掛かるまでが最初の関門なのだ。そこを突破するには、「自分は難しいことでもやり遂げられるのだ」という「自己効力感」と、やる気を引き出して気持ちを高めていく「モチベーション管理能力」が必要となる。

次に待ち受けているのは、勉強に意識を向け続けるという試練である。ここでは「注意の持続力」が求められる。

最大の関門が誘惑だ。スマホの通知や買ったばかりのゲームなどといった外的誘惑だけでない。テキストに「チンギス・ハン」という単語を見つければ、その単語から連想される記憶が自然と呼び起こされる。ここでは「セルフコントロール能力」が求められる。

多くの人は、これら一連のプロセスにおける複合的な能力を「集中力」と認識している。だが実際には、「集中力」という単一の能力は存在しない。

本書では、「集中力」の全体像をつかむために、人間の本能と理性を比喩的に「獣と調教師」と表し、集中力との関係性を見ていく。

面倒嫌いでパワフルな「獣」

まず「獣」と集中力の関係を見ていこう。内なる獣には3つの特性がある。

まず、「難しいものを嫌う」だ。これは、エネルギーの浪費をふせぐためだ。食物が見つからずに飢えそうなとき、急に猛獣に襲われたとき、伝染病にかかったときなど、いざという場面でエネルギーを残していなければ、人類は死に絶えてしまう。進化の過程で、エネルギーを保存するようになっていったのだ。現代の高度化したタスクに集中できないのは、当然といえば当然のことだろう。

次に「あらゆる刺激に反応する」だ。獣は情報の並列処理が得意なので、日々のあらゆる刺激が獣の注意を引いてしまう。人間の脳が受け取る情報量たるや、1秒間に1100万件を超えるという推計もあるほどで、なかでも五感に訴えかけるものには意識のスイッチが優先的にオンになるようにプログラムされている。

最後に、「パワーが強い」だ。いったん獣に乗っ取られてしまえば、あやつり人形のごとくなすすべがない。集中力は簡単に途絶えてしまう。

ロジカルだけど何かと不利な「調教師」
Deagreez/gettyimages

一方「調教師」は、進化の過程で「獣」に対応する別の3つの特性を持ち得た。

まず、「論理性を武器に使う」だ。

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要約公開日 2020.01.01
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