まずは、全時間を最適にデザインするためのメイクタイムのしくみを紹介する。1日の中で、メイクタイムは、ハイライト、レーザー、チャージ、チューニングの4ステップから成る。
最初のステップでは、その日に優先する「ハイライト」を1つ決める。何のために時間をつくるのかを決めるということだ。最優先事項を決めることで、前向きで積極的な気持ちになれる。
ステップ2では、そのハイライトに「レーザー光線のように集中」し続ける。そのためには、テクノロジーを調整し、「気を散らすもの」を撃退することが必要だ。
そしてステップ3として、時間と注意力を1日中コントロールするために、「エネルギー」を蓄える(チャージする)。具体的には、運動や食事、睡眠、静寂、親密な時間などで「脳を充電」する。
最後のステップ4では、1日を振り返って寝る前に簡単な「メモ」をとる。どの戦術を続けたいか、改善したいか、やめたいかを考える。その日のエネルギーレベルがどうだったか、ハイライトの時間をつくれたか、その日何に喜びを感じたかを振り返るのである。
本書ではメイクタイムを実践するための87もの戦術を紹介している。もちろん、すべての戦術を一気に試す必要はない。むしろ、自分に合った戦術を選び、試し、繰り返すことが大切だ。初めてメイクタイムを実践する日は、各セクションから戦術を1つずつ選ぶくらいでいい。毎日実験をして、効果があるかどうか確かめよう。そうすることで、自分に合った完璧なメイクタイム・システムをつくることができる。
メイクタイムを実践すると、大事なことをやる余裕が生まれる。ぜひ取り入れやすいものから順にやってみて、毎日に喜びを見つけてほしい。
ハイライトとは毎日に「ちょうどいい目標」を置くことだ。それを決めるには、次の3つの基準をもとにするとよい。1つ目は、今日やらなくてはいけない、急を要することは何かという「緊急性」だ。2つ目は、何を選べば1日の終わりに最大の満足感が得られるかという「満足感」。3つ目は、今日という日を振り返ったとき、いちばん喜びを感じられるのは何をしたときかという「喜び」である。
これら3つの基準のうち、その日何をメインに置くのかは、直感で決めていい。1つの目安としては、ハイライトは60~90分くらいでできることを選ぶのがいい。それだけあれば意味のあることができるし、それくらいの時間なら無理なく予定に入れられるだろう。
ここからはハイライト戦術の一部を紹介する。ハイライトのための時間をつくるには、まずは、選んだハイライトを書いてみることだ。ふせんなどに書いて目につく場所に貼っておくことで、いつでもその内容を思い出せる。1つに絞れないときは、大事なテーマを3~10個書き出そう。その中にはきっといちばん大事なことがあるはずだ。自分の気持ちに正直になって、本当に優先すべきことを丸で囲んでみよう。そのリストは毎日のハイライト選びに役立てられる。
ときには同じハイライトに、何日も連続して取り組むことも必要だ。いわゆる「ひとりスプリント」である。数日間続けて取り組むことで「ゾーン」に入り、普段よりもずっと大きな成果をあげられる。
何をやるかが決まったら、次は「いつやるか」を予定表に書き込むとよい。それによって、1日の時間の使い方を考えざるを得なくなるからだ。職場であれば、その時間のカレンダーを「ブロック」することで、同僚にもそれは「自分のための時間」であることを伝えられる。同僚はミーティングなどを入れようとするかもしれないが、ときには思い切って断ることも必要だ。そうやって予定を組み立てていくうちに、時間の感覚が身につき、1日1日をデザインできるようになる。
ハイライトを選んで時間をつくったあとは、集中することが欠かせない。だがそれが難しい。人間は、メールやSNS、テレビなどに気を取られ、集中力を奪われてしまうからだ。平均的なiPhoneユーザーは1日に80回もロックを解除する。
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