今年こそフィットネスセンターに行こう。このような新年の抱負を掲げても、実行できたことはあるだろうか。重要だが厄介な行為になかなか取りかかれない傾向を、研究者は「行為の先送り」または「先延ばし」と呼ぶ。先延ばしは不毛な行為だとわかっているのに、私たちはなぜ大事なことを後回しにしてしまうのか。
それは、「始めてから成果が出るまでに、時間がかかる」からだ。その時間を耐えるには強い意志力が必要となる。ところが、意志力を持続させることは難しい。エネルギーを消費しきってしまうと、その後しばらくは難題をこなせるだけの力を失ってしまうためだ。
では「先延ばし」を避けるにはどうしたらいいのか。大事なのは、リラックスしたり、横道に逸れたりするインターバルを設けることだ。また、横道に逸れたままにならないよう、注意を逸らす要因をあらかじめ排除しておくのもよい。著者は、長編小説を書く際は、ネットサーフィンの誘惑にかられないよう、インターネットの接続を切っているという。
特に効果的なのは「期限を設定する」ことだ。心理学者のダン・アリエリーは、外部から期限が設定されている場合が、先延ばしを最も効果的に防げることを突き止めている。自分で期限を設ける場合は、やるべきことをいくつかのパートに分けて、パートごとに期限を設けるようにしたい。明確な中間目標がなければ、新年の抱負が失敗に終わるのは目に見えているのだ。
あなたがもし、これからCEOの前で正念場となるプレゼンテーションを控えているとしよう。開始時間には、午前8時、午前11時、午後6時が提示されている。心理学的に、果たしてどの時間が最適なのだろうか。
比較し、吟味し、決断をすると、私たちは疲弊してしまう。こうした状態を「決断疲れ」と呼ぶ。意志力が消耗した結果、消費者は広告に惑わされやすくなり、衝動買いに走ってしまう。また、重要な決定を下す立場にある人は、誘惑に惑わされやすくなるという。
意志力を充電するには、休憩をとってリラックスしたり、何かを食べたりするとよい。血糖値が低いと、意志の力は衰える。
そのことを熟知しているのが、スウェーデンの家具メーカーIKEAだ。同社は、レストランを順路の真ん中に設けている。その理由はなぜか。
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