2017年に実施された「上場企業の課長に関する実態調査」では、約6割のリーダーが、3年前よりも業務量が増えたと回答している。働き方改革の影響で業務時間が短くなっている中、リーダーはプレーヤーとしての業務に追われ、チームメンバーのマネジメントに十分な時間を取れずにいるのだ。
そこでリーダーが変えるべきは、「力の入れどころ」である。「いかに速くやるか」ではなく、「いかに任せていくか」にシフトするのだ。日々の売上の確認、進捗チェック、新人の教育……こうした業務を、参謀や部下、他の部署の人に任せられないかどうか考えてみよう。
誰かに仕事を任せると、その人の負担が増えるのではないかと不安になるかもしれないが、心配は無用だ。著者はしばしば研修で、「もっと、信頼して任せてほしい」「チームでできることはあると思うのに」という部下の不満を耳にするのだという。部下や仲間がいるなら積極的に頼るべきだ。
責任感がある上司ほど、マイクロマネジメントに陥りやすい。つまり、部下に細かく指示しすぎてしまう状態だ。だが、「~しておいてね」「~しちゃダメだよ」などという表現を使われると、部下は窮屈に感じてしまうものである。
マイクロマネジメントを手放すには、自分の責任感を「目先のこと」ではなく、「部下を成長させること」に向けるのが効果的だ。そして、部下の「自己決定感」に着目し、自分で決めさせること。ミスも本人の成長の肥やしになると考えて、部下の成長の機会を奪わないように心がけたいものだ。
「任せ上手」になるなら、簡単な業務を任せるだけではいけない。業務を任せることで部下を覚醒させてこそ「任せ上手」と言える。
何事も、経験豊富なリーダーがやったほうが早いのは当然だ。しかし、それでは未来への投資にはならない。あえて自らの経験を封印して、失敗を恐れずに部下に業務を任せ、経験させること。それこそが未来に対する「投資」である。中堅の部下であればマネジメントの一部を担当させてみる、チャレンジ精神に欠ける部下であれば小さな挑戦を通して成功体験を積ませるなど、その部下に対する期待と課題に合わせて「一皮むける経験」をさせてあげてはいかがだろうか。
ただし、仕事を任せるときは、部下の成熟度を気にかけておくべきだ。新人には細かくやり方を教えなければならないし、中堅には自分で考えさせる必要がある。部下の段取りの良し悪しを勘案し、段取りの付け方を教える、先輩社員とペアでやってもらうといったサポートも必要だろう。
最も重要なのは、
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