難しい文章でもきちんと理解し、「読み込む力」と「地頭力」を鍛えるにはどうすればいいのか。ポイントは、本の読み方を変えることだという。著者が提唱する「東大読書」を実践すれば、この2つを下支えする「読解力」「論理的思考力」「要約力」「客観的思考力」「応用力」を身につけられる。本要約では、「東大読書」の5つのステップを紹介していく。
「本の内容が頭に入ってこない」。その原因の9割は、準備不足にあるという。文章のタイトルを読んでいるかどうか。そして、本のカバーや帯の言葉を読んでいるかどうか。これらを実践することで、理解度に大きな差がつく。
東大生の多くは、国語の長文読解問題を解く際、真っ先に「問題文」を見る。問題文には内容のヒントがあり、そこから概要を大まかに把握できるからだ。東大生が文章を素早く、正確に読めるのは読解力に長けているからではなく、「文章の外からヒントを得る力」があるからだといえる。
では具体的にどんな準備をするといいのか。ステップ1で必要なのは「装丁読み」と「仮説作り」だ。
「装丁読み」というのは、本のカバーや帯からその内容のヒントを読み取ることである。装丁に載っている文言やタイトルには、一目で読者に興味をもってもらえるよう、たくさんの情報が凝縮されている。
手順としては、タイトル、帯のそれぞれから引き出した情報を付箋に1枚ずつ書いてみる。そして著者のプロフィールから著者のバックグラウンドを確認し、得られる情報を付箋に書き出していく。こうして集めた付箋は、本の「見返し」に貼っておき、頻繁に見直すとよい。付箋を一覧化すると、ヒントをいつでも見直せるため、ヒントの活用度が増す。
次に「仮説作り」について解説しよう。「仮説作り」とは、その本の全体像を把握するための地図をつくることである。ポイントは、完璧な地図をめざす必要はないという点だ。
具体的には、「目標(なぜその本を読むのか)」「目標までの道筋(その本でどうやって目標を達成するのか)」「スタート地点(本を読む前の自分がいる現在地)」の順に、仮説を設定していく。そして、これら3つをまとめた付箋を見直してみる。すると、「今自分はこの目標のために、ここを読み進めている」と意識できる。あとは、本を読み進める中で、どんどん仮説を修正すればよい。
このとき、できるだけ自分との距離が遠い目標を設定することで、より高みをめざせるようになる。
本の内容を自分のものにするには、「読者」ではなく「記者」になったつもりで読むとよい。著者が目の前にいたらどう質問するかを考えながら読むのだ。これが、ステップ2の「取材読み」にあたる。
「取材読み」の効果は多岐にわたる。なんといっても、感情を込めて読めるようになる。受け身の「読者」でいるときよりも、一歩踏み込んで文を読むため、著者の感情も理解しやすくなるのだ。こうして感情がわかれば、論理展開も格段に追いやすい。
「取材読み」は「質問読み」と「追求読み」の2つから成る。「質問読み」では、読書中に「質問」となる部分を探し、そのページに付箋を貼っていく。次に、「質問」の回答が出てきたら、さらにそこに付箋を貼る。その後、「これは重要だ」と思う質問に出くわすたびに、ノートに写していく。こうすることで、得た情報が知識に変わる。
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