科学的な適職

4021の研究データが導き出す 最高の職業の選び方
未読
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4021の研究データが導き出す 最高の職業の選び方
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科学的な適職
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出版社
クロスメディア・パブリッシング

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出版日
2019年12月21日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.5
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おすすめポイント

人生において、仕事は大きな割合を占める。コーネル大学の調査で1500人の老人に「人生で最も後悔したことは?」と尋ねたところ、一番多かったのが「なぜもっと良い仕事を探さなかったのだろう」という未練の言葉だったという。日本における類似の調査でも、「働きすぎてプライベートをなくした」と答える老人が多かったそうだ。それほどにキャリア選択は、人間の幸せを大きく左右するのである。

ではどうすれば「自分にぴったりの仕事」=「幸福が最大化される仕事」を選ぶことができるのか。その方法を科学的なデータにもとづき、具体的に示したのが本書だ。著者は世界各国のさまざまな研究データから、幸福な仕事選びに役立つ可能性が高いテクニックだけを選び出し、5つのステップ「AWAKE」として体系化した。「AWAKE」を辿ることで、職業選択で陥りがちな幻想から目を覚まし、仕事選びに関する視野を広げ、間違った選択をしないための方法を知り、さらには選んだ仕事にやりがいをもてるようになるという。「好きを仕事に」という、誰もが良いと信じる職業選択のあり方が、じつは間違いのもとになり得るという指摘は実に興味深い。

これから職業を選ぼうという人はもちろん、すでに仕事に就いていて転職・副業・独立を考えている人、いま就いている仕事が自分に合っているのか不安を覚える人に、ぜひ読んでもらえればと思う。人生の岐路において、かならず役に立つ一冊だ。

ライター画像
上條まゆみ

著者

鈴木 祐(すずき ゆう)
新進気鋭のサイエンスライター。1976年生まれ、慶應義塾大学SFC卒業後、出版社勤務を経て独立。10万本の科学論文の読破と600人を超える海外の学者や専門医へのインタビューを重ねながら、現在はヘルスケアや生産性向上をテーマとした書籍や雑誌の執筆を手がける。自身のブログ「パレオな男」で心理、健康、科学に関する最新の知見を紹介し続け、月間250万PVを達成。近年はヘルスケア企業などを中心に、科学的なエビデンスの見分け方などを伝える講演なども行っている。著書に『最高の体調』(クロスメディア・パブリッシング)、『ヤバい集中力』(SBクリエイティブ)他多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    キャリアの多様化が進み、選択肢が多い現代社会において、職業選択に悩む人は多い。そして多くの人が視野狭窄に陥り、間違った選択をしてしまう。
  • 要点
    2
    「幻想から覚める」、「未来を広げる」、「悪を取り除く」、「歪みに気づく」、「やりがいを再構築する」。この5つのステップを順に追うことで、より正しい職業選択が可能となる。
  • 要点
    3
    5つのステップをパーフェクトにやり遂げても、「これで良かったのか?」と不安がよみがえる瞬間はかならずやってくる。そのときはふたたび5つのステップを実践し、意思決定を行おう。そうすることで、人生の後悔を少しでも減らせるはずだ。

要約

人はなぜ職業選択を間違えるのか

キャリアアドバイスの多くが役に立たない
PeopleImages/gettyimages

「どうしたら自分に合った仕事を選べるのだろう」という問いは、「どうしたら幸せになれるのだろう」という問いとほぼ同意義だ。それほどまでに、仕事が人生に占める位置は大きい。にもかかわらず、多くの人が職業選択を間違え、不幸な人生を送っている。

そこで著者は、適職を「あなたの幸福が最大化される仕事」と定義し、適職に巡り合うための方法を科学的に導き出した。「ステップ1:幻想から覚める(Access the truth)」、「ステップ2:未来を広げる(Widen your future)」、「ステップ3:悪を取り除く(Avoid evil)」、「ステップ4:歪みに気づく(Keep human bias out)」、「ステップ5:やりがいを再構築する(Engage in your work)」。この5つのステップ「AWAKE」を順に追うことで、意思決定力が確実に高まり、適職を選べる確率が跳ね上がる。

そもそも人はなぜ職業選択を間違えるのか。それは人類の歴史上、職業選択という悩みが生まれたのはごく最近であり、人の脳には職業を選ぶための能力が備わっていないためだ。人に「偏見や思い込みに思考が支配されがち」という特性があるのも、誤りに拍車をかける。

世の中にはさまざまなキャリアアドバイスが存在するが、その多くが信憑性に乏しい。なぜならアドバイザー個人の経験や嗜好だけで判断しているからだ。したがってそうしたアドバイスを参考に職業選択を試みても、なかなか正解にたどり着けないのである。

【必読ポイント!】 幻想から覚める

好きを仕事にしてはいけない理由

世の中に流布している役に立たないアドバイスを、著者は「仕事選びにおける7つの大罪」として挙げている。(1)好きを仕事にする、(2)給料の多さで選ぶ、(3)業界や職種で選ぶ、(4)仕事の楽さで選ぶ、(5)性格テストで選ぶ、(6)直感で選ぶ、(7)適性に合った仕事を求める――これらのアドバイスを鵜呑みにしている限り、適職には巡り合えない。

たとえば、よく耳にするところの「好きなことを仕事にしよう」というアドバイス。好きなことなら楽しく続けられるし、努力も苦にならず、おのずと良い結果も生み出せるということで、一見すると正しいアドバイスのように思える。

だが多くの研究データは、「自分の好きなことを仕事にしようがしまいが最終的な幸福感は変わらない」ことを示している。いかに好きな仕事であっても、仕事である以上、面倒な作業や人間関係にまつわる悩みは、どうしてもついて回る。好きな仕事を求める気持ちが強いほど、現実の仕事に対するギャップを感じやすくなり、結果的に幸福感は薄れてしまうのだ。

お金で幸せはどこまで買えるのか
phototechno/gettyimages

ならば収入で仕事を選ぶのはどうか。やりたいことが見つからないという人の多くが、「ではせめて給料の高い仕事を」と思うのは自然の流れだろう。好きになれる仕事でなくても、お金さえあればプライベートを充実させることができるし、プライドも満足させられる。

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要約公開日 2020.01.25
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