インターネット産業はもはや成長産業ではない。スマートフォンが登場してから10年余りが過ぎ、2017年にはとうとう世界出荷数の伸びが止まった。同時にインターネット利用者人口も2ケタ成長を割り込んでいる。今後は、人口減少にともない、インターネット利用者はますます減っていくはずだ。
そんな中、次なる産業は「インターネットの外」にある。医療、交通、物流、教育、製造業など、リアルでフィジカルな世界をテクノロジーによって再定義する競争がすでに始まっているのだ。これこそ一般に言われるデジタルトランスフォーメーションだ。デジタルトランスフォーメーションがあらゆる産業で起こっているからこそ、すべての人がテクノロジーを理解しておかなければならなくなりつつある。
金融業界は、インターネットの外の世界において、デジタルトランスフォーメーションが最も激しく起きている業界である。ありとあらゆる金融行為をオンラインに置き換えていくフィンテックのレースは、すでに後半戦に突入している。
デジタルトランスフォーメーションとは、既存産業のテクノロジーによる革新や置き換え、再定義のことを指す。ここで重要になるのが「組み合わせ」だ。技術と技術、そして技術と市場の組み合わせによって大きな産業革新が起きる。
デジタルトランスフォーメーションが活発化している背景には、各分野の技術が実用に耐え得るレベルの進展を見せていることと、社会の構造変化に伴い、あらゆる産業や社会インフラに限界が来てアップデートが必要になっていることがある。
革新の時代の中では、いかなる産業、職種であっても、自らも時代に適応すべくイノベーションに取り組まなければならない。そこでは「社会の変化のスピードとインパクトよりも自らの革新が速く、大きければ勝ち、遅く小さければ負け」というルールが生まれる。
イノベーションの需要が高まると、その値段は上がる。このイノベーションのインフレは、これからも続くだろう。したがって、誰もが追い求めるスタートアップの値段は上がり続けている。
一方で「失敗」はデフレし、失敗のコストは小さくなっている。
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