テクノロジー思考

技術の価値を理解するための「現代の教養」
未読
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技術の価値を理解するための「現代の教養」
著者
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テクノロジー思考
著者
出版社
ダイヤモンド社

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出版日
2019年08月07日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

テクノロジーは私たちの生活を大きく変えてきた。スマートフォンが「誰もが当たり前に持っているもの」となって久しいが、さらに電子マネーやキャッシュレス決済、ライドシェアなど、次々に新しいサービスやシステムが生まれ続けている。あなたはこのテクノロジーの大きな波に飲み込まれてしまってはいないだろうか。

本書は、このテクノロジー社会を分析し、これからを生き抜くための知識を丁寧に解説している。テクノロジーの影響を受けずに生活することが不可能となった今、正しい知識を身につけ、テクノロジーが国や会社組織、自分の職業にどのような影響を与えるのかを知ることは必須である。本書ではテクノロジー社会で起きていることを明示的に言語化し、体系化している。

本書によると、一世を風靡したインターネット産業はもはや最先端ではなく、現在の最先端はむしろ「インターネットの外」にあるのだという。都市部への人口集中が起きている中、テクノロジーを利用した地方への支援策は社会貢献事業としてではなく、ビジネスとして機能し始めている。テクノロジーは従来のイメージから離れた「泥臭い」ところでも活躍しているらしい。

我々はもはやテクノロジーを手放して生きていくことはできない。「新しいことはわからない」などと諦めている場合ではない。テクノロジーは我々の生活に、仕事に、社会に、知らぬ間に入り込んで根を張っているのだ。本書は現代を生きるビジネスパーソン必携の一冊と言えるだろう。

ライター画像
池田明季哉

著者

蛯原健(えびはら たけし)
1994年、横浜国立大学経済学部を卒業し、(株)ジャフコに入社。以来20年以上にわたり一貫してスタートアップの投資及び経営に携わる。2008年、独立系ベンチャーキャピタルとしてリブライトパートナーズ(株)を創業。2010年、シンガポールに事業拠点を移し東南アジア投資を開始。2014年、バンガロールに常設チームを設置しインド投資を本格的に開始。現在シンガポールに家族と在住し、インドと東京の3拠点にて事業を行う。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。本書が初の著書となる。

本書の要点

  • 要点
    1
    インターネット産業はもはや成長産業ではない。次なるフロンティアは「インターネットの外」のリアルでフィジカルな世界にある。
  • 要点
    2
    かつてスタートアップの脅威であった大企業は、今はむしろ最大の支援者となり、ともにイノベーションを起こそうとしている。
  • 要点
    3
    デジタルトランスフォーメーションが活発になっているのは「地方」と「社会貢献」の分野である。テクノロジーによって地方を支援する事業は、ボランティア的な社会貢献からビジネスへと発展している。

要約

【必読ポイント!】 テクノロジー産業の現在

成熟しきったインターネット産業

インターネット産業はもはや成長産業ではない。スマートフォンが登場してから10年余りが過ぎ、2017年にはとうとう世界出荷数の伸びが止まった。同時にインターネット利用者人口も2ケタ成長を割り込んでいる。今後は、人口減少にともない、インターネット利用者はますます減っていくはずだ。

そんな中、次なる産業は「インターネットの外」にある。医療、交通、物流、教育、製造業など、リアルでフィジカルな世界をテクノロジーによって再定義する競争がすでに始まっているのだ。これこそ一般に言われるデジタルトランスフォーメーションだ。デジタルトランスフォーメーションがあらゆる産業で起こっているからこそ、すべての人がテクノロジーを理解しておかなければならなくなりつつある。

活発化するデジタルトランスフォーメーション
metamorworks/gettyimages

金融業界は、インターネットの外の世界において、デジタルトランスフォーメーションが最も激しく起きている業界である。ありとあらゆる金融行為をオンラインに置き換えていくフィンテックのレースは、すでに後半戦に突入している。

デジタルトランスフォーメーションとは、既存産業のテクノロジーによる革新や置き換え、再定義のことを指す。ここで重要になるのが「組み合わせ」だ。技術と技術、そして技術と市場の組み合わせによって大きな産業革新が起きる。

デジタルトランスフォーメーションが活発化している背景には、各分野の技術が実用に耐え得るレベルの進展を見せていることと、社会の構造変化に伴い、あらゆる産業や社会インフラに限界が来てアップデートが必要になっていることがある。

イノベーション至上主義とスタートアップ全盛時代

なぜイノベーション至上主義の時代なのか

革新の時代の中では、いかなる産業、職種であっても、自らも時代に適応すべくイノベーションに取り組まなければならない。そこでは「社会の変化のスピードとインパクトよりも自らの革新が速く、大きければ勝ち、遅く小さければ負け」というルールが生まれる。

イノベーションの需要が高まると、その値段は上がる。このイノベーションのインフレは、これからも続くだろう。したがって、誰もが追い求めるスタートアップの値段は上がり続けている。

一方で「失敗」はデフレし、失敗のコストは小さくなっている。

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要約公開日 2020.02.19
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