コロナ後に生き残る会社 食える仕事 稼げる働き方

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新型コロナウイルス感染拡大による、未曾有の事態が続いている。突如襲ったコロナ・ショックは、私たちの「当たり前の日常」を、一瞬で過去のものにしてしまった。人の移動が制限され、移動による経済の恩恵が失われていく。さらに、通勤から在宅勤務へ、会議はオンラインで。「人が集うこと」を前提としたビジネススタイルは、大きく覆された。

「先行き不透明な時代」と言われて久しいが、今ほどそれを痛烈に感じたときはないだろう。感染者数に比例して、企業倒産や失業率も右肩上がり。リーマンショックを超える不況が待ち構えていることは、誰の目にも明らかだ。

コロナ後の社会はどう変わっていくのか。経済はどの程度回復するのか。職を失わずに食べていけるのか。とめどなく不安が押し寄せるが、嘆いてばかりもいられない。これから訪れる変化を予測し、先手を打たなければならない。

著者の遠藤功氏は、コロナ後に起こる変化を読み解き、「会社」「仕事」「働き方」の3つの観点から「どうしたら生き残れるか」を説いていく。コロナ・ショックを生き抜くために、会社は、そして個人は何をしなければならないか。本書はその道しるべとなってくれることだろう。

「失われた30年」と呼ばれる平成時代、日本は幾度も変革を迫られながら、それができずにいた。見方を変えると、今こそそれを断行するチャンスなのかもしれない。コロナにあえぐ、すべての日本人にお読みいただきたい。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

遠藤功(えんどう いさお)
株式会社シナ・コーポレーション代表取締役。
早稲田大学商学部卒業。米国ボストンカレッジ経営学修士(MBA)。三菱電機、複数の外資系戦略コンサルティング会社を経て、現職。2005年から2016年まで早稲田大学ビジネススクール教授を務めた。
2020年6月末にローランド・ベルガー日本法人会長を退任。7月より「無所属」の独立コンサルタントとして活動している。多くの企業のアドバイザー、経営顧問を務め、次世代リーダー育成の企業研修にも携わっている。
株式会社良品計画社外取締役。SOMPOホールディングス株式会社社外取締役。株式会社ドリーム・アーツ社外取締役。株式会社マザーハウス社外取締役。株式会社NTTデータアドバイザリーボードメンバー。
『現場力を鍛える』『見える化』『現場論』『生きている会社、死んでいる会社』『戦略コンサルタント 仕事の本質と全技法』(以上、東洋経済新報社)、『新幹線お掃除の天使たち』(あさ出版)など、べストセラー著書多数。
連絡先:isao.endo@cenacorporation.com

本書の要点

  • 要点
    1
    コロナ・ショックは移動→需要→雇用の「蒸発のドミノ倒し」を引き起こした。世界的なコロナ恐慌につながる可能性もある。
  • 要点
    2
    企業は、コロナ前の70%の回復「70%エコノミー」を目標にすべきである。
  • 要点
    3
    コロナ後は、「食えるプロ人材」と「食えないアマ人材」に二極化する。誰もが付加価値の高いプロを目指さなければ生き残れない。

要約

コロナがもたらす大恐慌

出口の見えないトンネル
fcscafeine/gettyimages

コロナ不況は、1930年代の大恐慌に匹敵するといわれている。一部の限られた業界を除けば、ほぼ全ての産業が打撃を受けている。

コロナ不況からの「出口」は、なかなか見つからないだろう。ワクチン開発などでウイルスの蔓延は収束しても、経済の回復には相当な時間を要する。ポストコロナにおける経済の牽引役は見えず、楽観的なシナリオは描けない。世界同時不況も起こり得るだろう。

コロナは何の前触れもなく経済活動を「蒸発」させてしまった。その発端は「移動蒸発」である。海外はもとより国内移動もストップし、移動がもたらす経済のダイナミズムは消失した。「移動蒸発」により、訪日観光客は激減。2020年4月は前年同月比の99.9%減の2900人であった。

「移動蒸発」は「需要蒸発」を引き起こす。旺盛なインバウンド需要に支えられてきた百貨店の売上高は急減。外食産業では、ワタミが65店(全体の13%)の閉店を決め、減損損失19億円を計上した。また、「需要蒸発」は「雇用蒸発」につながる。野村総合研究所によると、コロナが長期化して行動制限が1年間続くと、新規失業者は222万人に達するという試算を出した。

こうした「蒸発のドミノ倒し」により、私たちは「出口の見えないトンネル」に入り込んでしまった。

弱肉強食時代の到来

コロナ・ショックにより、経済活動は大きく縮む。少しずつ需要は回復しているものの、当面元に戻ることはない。企業は、コロナ前の70%程度に回復した「70%エコノミー」を前提に経営する必要がある。

今後問われるのは、「生命力」の強さである。強いものは生き残り、弱いものは淘汰される。業界再編やM&Aなど、至るところで「新陳代謝」が起きるだろう。

「生命力」が問われるのは個人も同じである。これまで以上に勝ち組と負け組の差ができ、格差は広がるだろう。良い大学・良い会社に入れば一生安泰という人生モデルはすでに過去のものだ。しかし、多くの人はまだこの幻想を抱いている。会社が変わろうとしている今、社員たちの意識や行動も変わらなければならない。

令和を迎え、突如起きたコロナ・ショック。コロナは私たちを「低成長×不安定」という、どん底の局面へと追い込んでいる。「失われた30年」の平成時代、私たちは「緩慢なる衰退」を社会全体で容認していた。日本の生産性の低さはここ何十年も指摘されてきたが、私たちは本気でその改善に取り組もうとしてこなかった。しかし今、コロナ・ショックで強制的に変わらざるをえない状況に追い込まれている。「出口のないトンネル」を抜ける方法はひとつ、自分で「出口を掘る」ことだ。

【必読ポイント!】 ポストコロナのSPGH戦略

S:守りを固めて生き抜く
ilkercelik/gettyimages

ポストコロナにおいて、日本企業は次の4つの経営戦略をとらなければならない。ここではその4つのイニシャルを取って「SPGH戦略」と呼ぶことにする。

1つめはS、サバイバル(Survival)戦略だ。コロナ・ショックのダメージを最小限にするには、守りを固めることが大切だ。リスクを回避し、堅実経営を心がけなければならない。そのためには、次の3つの方策が必要だ。

まずは「人員の適正化(ダウンサイジング)」である。ある大企業の経営者は「本社で働く3割はいらない」と語っている。ビジネスの規模は縮小しているのに、人員がそのままでは沈没してしまう。今こそ、あらゆる施策を総動員して、人員のダウンサイジングをしなければならない。

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要約公開日 2020.10.22
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