在宅HACKS!

自分史上最高のアウトプットを可能にする新しい働き方
未読
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出版社
東洋経済新報社

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出版日
2020年07月09日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「このタイミングで出会えて良かった」と思う一冊である。本書では、在宅勤務で仕事に集中し、高いパフォーマンスを出すためのハックが科学的根拠をもとに解説されている。在宅勤務歴が長い著者の経験に裏打ちされたハックであるため、説得力は抜群だ。

本書を読めば、在宅勤務で成果を出すために重要なのは、「ちょっとした環境構築の工夫」であることがわかるだろう。自分の意志ややる気に頼るのではなく、集中できる環境を構築することこそが重要なのだ。

本書に載っていたハックの中には、すでに要約者が実行しているものもあった。たとえば在宅勤務でも服は外出用の服装に着替えること。着替えによってオン・オフの切り替えができ、メリハリがつくというわけだ。

一方で、本書で新たに知ったハックも早速取り入れた。そのひとつが、25分集中して5分休むというポモドーロ・テクニックだ。これは、締め切り効果を使って自分の潜在意識に働きかけ、集中力を発動させる効果があるという。

物置に放置していたスマートウォッチを引っ張り出し、タイマー代わりに腕に装着。25分ごとに締め切りを設けて仕事をしてみた。結果、俄然集中力が増し、なんと生産性は1.5倍になった。小さな工夫だがその効果は甚大であった。

在宅勤務で仕事に集中できないでいる人には、ぜひ一読をおすすめする。

著者

小山龍介(こやま りゅうすけ)
株式会社ブルームコンセプト代表取締役・コンセプトクリエイター
1975年福岡県生まれ。AB型。京都大学文学部哲学科美学美術史卒業。大手広告代理店勤務を経て、米国MBAを取得。その後、松竹株式会社新規事業プロデューサーとして歌舞伎をテーマに新規事業を立ち上げた。2010年、株式会社ブルームコンセプトを設立し、現職。名古屋商科大学大学院准教授(ビジネスモデル論)、(社)ビジネスモデルイノベーション協会アドバイザー、(社)日本能楽謡隊協会理事、(社)きりぶえ監事、日本ビジネスモデル学会プリンシパル。京都芸術大学MFA(芸術学修士)。現在、京都芸術大学博士課程在籍。宝生流シテ方能楽師の佐野登に師事し、2015年『土蜘』を演能。著書に『IDEA HACKS!』(東洋経済新報社)をはじめとするハックシリーズ、訳書に『ビジネスモデル・ジェネレーション』(翔泳社)等がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    ほどよい刺激を受けて集中するには、「ゆらぎ」がキーワードになる。水の流れる音や波の音、暖炉の炎の揺れなどがこれに該当する。水槽や観葉植物もおすすめだ。
  • 要点
    2
    フロー状態に入るには、時間的制約の中に身を置くのが効果的だ。午後3時に休憩すると決めて、食後の中だるみを最小限に抑えよう。
  • 要点
    3
    在宅勤務では、相手がいつ仕事をしているかはわからない。やり取りを周りの人に共有するためにも、電話ではなくチャットで連絡すべきだ。

要約

環境整備ハック

脳の「認知資源」を浪費しない環境を作る

家では集中して仕事ができないという人もいるだろう。その原因のひとつは部屋の環境にある。散らかった状態が目に入っていると、脳の認知資源が奪われて集中力を失ってしまうのだ。作業環境を整理して、脳の認知資源を作業に集中させ、集中力と情報処理能力を改善しよう。

ただし、物を減らせば集中できるというものでもない。2004年ごろ、著者がGoogleのオフィスを訪問した際、エンジニアのデスクにはマウンテンバイクや趣味のおもちゃなども置いてあった。もしそれらが集中力を削ぐのなら、彼らがそんな環境を放置しているはずはないだろう。重要なのは、仕事に関係のないものを置かないことではなく、きちんと整理整頓されていることだ。

二酸化炭素濃度を管理する
PeopleImages/gettyimages

在宅勤務の盲点となるのが空気だ。オフィスなら気にならなくても、自宅という閉鎖空間であれば、大きなインパクトがある。一般的に、二酸化炭素の濃度が1000ppmを超えると思考に影響が出始めると言われている。

外の空気は400~450ppmだが、室内になると、人の呼吸だけでも二酸化炭素の濃度が上がる。著者は、会議で参加者が疲れた様子を見せたとき、二酸化炭素測定器で濃度を測ってみた。すると1000ppmを超えており、場合によっては3000ppmを超えているときもあった。

参加者は、会議に疲れたのではなく、ただ二酸化炭素にやられていただけだったのだ。実際、換気をすると、参加者の様子も会議の雰囲気もがらっと変わった。

特に自宅は、気密性が高く空気が汚れやすい。自宅にこもって仕事をしているうちに、空気の汚れに気づかず、集中できないまま作業を続けている可能性もある。

著者は、いつでも二酸化炭素の濃度を確認できるように、空気質モニターをデスクの端に設置している。空気は目に見えないからこそ、こうしたセンサーによって確認することが重要だ。

「ゆらぎ」を作り出す
nektofadeev@gmail.com/gettyimages

在宅では集中できず、カフェで仕事をしているという人もいるだろう。雑音がないとかえって落ち着かないものだ。とはいえ、テレビをつけるとあまりにも気が散ってしまう。テレビほどの刺激ではないものの、無音空間のような無刺激ではない、ほどよい刺激が必要だ。

ちょうどいい刺激を考えるとき、「ゆらぎ」がキーワードになる。ここで言う「ゆらぎ」とは、規則的でもまったくの不規則でもない、ふたつの調和が取れた状態だ。水の流れる音や波の音、暖炉の炎の揺れなどがこれに該当する。

こうしたゆらぎは、人工的に生み出せる。著者の場合、部屋に水槽を置いている。水槽の中の小さな魚もまた、空間にゆらぎを与えてくれる存在だ。

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要約公開日 2020.10.27
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