人は、何のために生きるのだろうか。著者の答えは「幸せになるため」だ。しかし、悩んでも仕方のないことで悩み続けてしまったり、人間関係で不安にさいなまれたりして、ちっとも幸せだと感じられない人が多いのではないだろうか。
じつは、こうした悩みとは、人が勝手に抱いているだけにすぎないのだ。世の中で起こっていることと、自分がそれをどう感じるかは別物である。「子供が走り回っている」という同じ現象に対して、「かわいいな」と思う人もいれば、「うるさいな」と感じる人もいる。自分のとらえ方によって周囲の出来事はどうにでも変わってしまう。だから、何か問題が起きたときは、まわりを変えようとするよりも、自分を変えていこうとする方が、ずっと生きやすくなる。
本書では、テレビ出演を機に嫌な経験をたくさんし、ふさぎ込んだこともあるという著者が、自分の心をラクにしてくれた考え方やテクニックを紹介する。自分を変えるきっかけとなるのは「マインドフルネス」と「瞑想」だ。マインドフルネスとは、直訳すると「気づき」のことであり、それを強化してくれるのが「瞑想」である。
瞑想において、呼吸は非常に重要な要素だ。呼吸をある一定のペースにすると、集中力が高まり、自分をコントロールする力がつき、さらにはポジティブになれるということがわかっている。ぜひここで何回か深呼吸をしてみてから、続きを読み進めていただきたい。
私たちの脳はつねに自動運転状態にある。便利な反面、自分が何をしているかがわからなくなったり、物事に喜びを感じられなくなったりするという弊害もある。そこで、マインドフルネスでは、ふだん見逃しているところを、先入観をもたずにありのままに見て、本質に気づこうと試みる。特別なことをする必要はない。マインドフルネスは、話を聞くときや食べるとき、作業をするときなど、普段の生活のなかに取り入れられるものだ。
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