今、これまでの常識が非常識になりつつある。たとえば、「仕事において、人は我慢や成長をすべき」というのが、今までの常識だ。特に若い人は、常にがんばってステップアップすること、つまり「できないこと」を補完する成長が期待されてきた。
しかしこれからは、「できること」をベースに自分の仕事を継続していくのが当たり前になっていくだろう。プレゼンが苦手な人は、プレゼンの練習に時間を費やすよりも、プレゼンが得意な人を見つけてきて任せることを選ぶ。その上で、自分がもともと得意なことに集中したほうが、チームとしてのアウトプットは大きくなるはずだ。
すでにまわりから評価されている人は、そのスキルをもっと磨けばいい。そうでなくても、なにか得意なことがあるはずだ。「得意」といっても、誰かと比べる必要はない。「ありがとう」と言ってもらえるようなことであれば十分だ。
サイボウズの副社長である著者は、あるとき、新入社員から個人のツイッターのプロフィールについてダメ出しをされた。そこで、その新人にプロフィールの改善を任せてみたところ、フォロワーが一晩で倍以上になったのだ。すかさずほかの若手社員から、「アカウントが注目されているから、面白いことをつぶやきましょう」と促される。SNSのお作法を体得しているミレニアル世代をリスペクトせざるを得ない出来事であった。
昭和の時代の常識では、新入社員が副社長に向かってダメ出しをするなんて、あり得ないことだ。だが今、サイボウズの社員は、社内のグループウェアを使って、誰にでも直接、言いたいことや疑問に思うことを伝えられる。それならば、若い人から情報を教えてもらったり、若い人に任せてやってもらったりすればいい。今の時代、経験が浅くても、「自分のほうがうまくできる」と思うことがあれば、上司や先輩を助けることができるのだ。
自分の個性を生かして幸せなキャリアを築いていくためには、次の3つがベースになる。これこそが、これからの社会人、つまりカイシャインの心得だ。
(1)「できる」×「やるべき」から始める(「やりたい」は後からついてくる)
(2)自分の幸せをゴールに選択する
(3)質問責任を持つ
「なにになりたいんだ?」「夢はなんだ?」と聞かれることがあるだろう。だが、いきなり「自分のやりたいこと」を起点に仕事をしようとしても、たいていはうまくいかない。やりたいことがあっても、それをこなす力がなかったり、それを求めるお客さんがいなかったりすれば、仕事にはならないからだ。そこで若い人にすすめたいのが、
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