脳細胞が最も多いのは赤ちゃんのときで、その後は年齢とともに減少していく。これを聞いて「歳をとるにつれて、脳は衰える一方だ」と考える人が多い。しかし、実際はそうではない。
脳細胞の減少に反比例するように、脳内ではアミノ酸などの物質が増えていく。「生命の源」と呼ばれるアミノ酸は、体を形づくる上で欠かせない栄養成分だ。数は減っても、栄養が供給され続ける限り、脳細胞の成長は止まらない。つまり、脳は死ぬまで成長するのである。
MRI(磁気共鳴画像)で脳の画像を見比べると、20〜40代にかけて、脳が非常に個性的になっていくことがわかる。脳が本来持つ「成長したい」というエネルギーは、この時期に最も強くなるのである。学校を卒業して社会に出ていくこの時期、それまで使われなかった脳を働かせる機会が劇的に増える。大量の脳画像を見てきた著者は、「脳の成人式は30歳」であると主張する。自分の脳を鍛え、作り変えようとするなら、30歳からでも遅くないのである。
「これをすれば脳が劇的に良くなる」というような「一品主義」的な脳トレやドリルがあるが、ひとつのトレーニングだけで脳全体が強化されるものだと誤解してはならない。人に個性があるように、脳の個性もそれぞれである。必要なのは「自分の脳に合った方法で鍛える」という視点だ。
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