著者は結婚・第1子出産を経て仕事に復帰した後、フルタイムワンオペ育児で、やるべきことに忙殺されるようになった。毎朝7時に家を出て、保育園に子どもを送り、通勤中にメール処理。ゆっくりお昼を取る暇もなく業務をこなし、18時にダッシュで退社。保育園へお迎えに行き、子どもにご飯を食べさせ風呂に入れ、家事を済ませたら、持ち帰り業務をする。あっという間に24時を回ってベッドに入った途端に就寝……。「自分の時間」などまったくなく、ただひたすら「やっつけ仕事」をしているような日々だった。
当時の著者は「やること、やらなければならないことが多すぎるために時間がない」と考えていた。しかし、「やること、やらなければならないこと」とはそもそも何なのだろうか。
著者の場合、シンプルに言えば「仕事、子どもの世話、家事」である。この中にはたくさんのタスクが含まれている。仕事であればメール処理、資料作成、部下のマネジメント。子どもの世話なら保育園の送り迎え、寝かしつけ。家事は料理、洗濯、掃除……。
当時の著者は「やっていることや使っている時間」を大雑把に捉え、漠然と「これもやらなきゃ、あれもやらなきゃ」と焦ってばかりいた。そして、もっとも大切な「やめる」という選択肢には考えも及ばなかった。
時間がない人は「1日のうち、自分が何にどのくらい時間を使っているのか」を正確に把握できていない。時間は目に見えないからだ。
お金を貯めたいと思ったら、まず「収支の把握」をするだろう。それと同じように、時間を作りたいなら、「時間の把握」をしよう。そのためには「時間の財布」という考えを持つことだ。
私たちの「時間の財布」には、毎日、24時間という時間が入っている。自分はこの24時間を何に使っているのか。これを把握できない限り、時間を作れるようにはならない。「時間の財布」から出ていった「時間の使い先」を確かめて、「時間の見える化」をする必要がある。
著者はこれまで、メールの返信を早くする方法や食材の冷凍保存など、さまざまな時短テクニックを試してきたが、継続して時間を作ることはできなかった。それは、メールの返信や夕食作りにかかる時間を把握できていなかったからだ。
「時間の財布」の残金と使途がわからなければ、節約術だけ取り入れてもうまくいかない。まずは全体を「見える化」した「時間の財布」を持ち、「時間の使い方」を仕分けしていくことから始めよう。
私たちの24時間は、次の3つで成り立っている。まずは自分が使っている時間を3つに分解し、明確に数字で把握しよう。
(1)生活時間(睡眠、食事、入浴、排泄など、生きていく上で不可欠な時間)
(2)ルーチン時間(仕事、家事、送迎など、社会的に拘束される時間)
(3)自分時間(自由選択時間、余暇)
普段の生活で「時間がない!」と感じるのは、「自分時間」が少ないときではないだろうか。そのため、「毎日忙しく時間を使い切っているのに、満足感がない」となる。まずは3つの時間を見える化してみよう。
ここでは、「時間の見える化」をするテクニックを3つ紹介する。
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