雑談は、英語では「スモールトーク(small talk)」といわれるが、その効果は決して小さいものではない。本質的な会話の「入口」であり、人間関係構築の第一歩である。
海外のエグゼクティブと話すと、会話への入り方がじつに巧みだ。雑談によっていっきに距離感を縮め、お互いの心が通い合う「ラポール」という状態をつくり出していることがわかる。
誰かと会った後、「会話の内容」は覚えていないけれど「印象・気持ち」は残っているという経験はないだろうか。「何を話したか」は忘れても、「何を感じたか」は一生残るものだ。雑談は、この印象を形づくる「アピールタイム」だと心得よう。
人は、自分の聞きたい情報だけを受け入れる生き物だ。正論やファクトを振りかざしたところで、相手の心は動かせない。自分への執着やエゴを手放すことが、雑談や会話を上達させる第一歩だ。
では、どうすれば相手に気持ちよく話してもらえるようになるのか。そのカギを握るのは「質問力」だ。相手に投げかける質問は、イエスかノーで答えられる「クローズドクエスチョン」よりも、自由に答えられる「オープンクエスチョン」を選ぶといい。そのほうが、会話が弾みやすいからだ。「どう、どんな」や「どうやって、どうしたら」といった、「ど」から始まる質問をしてみよう。「どう思う?」「どんな〇〇が好き?」「どうしたい?」「どこの出身?」「調子はどう?」「どうしたら?」という6つの質問さえ覚えておけば、10分程度の会話は難なく切り抜けられるはずだ。
ウェブ会議が多用されるリモートワーク時代においては、簡潔に要点を伝える技術がこれまで以上に必要だ。何かを理解してもらったり、売ったりするためには、「言いたいことを一言でまとめる」クセをつけるといいだろう。まとめる文字数は10~20字が望ましいが、可能ならば13文字以内に絞り込み、「読む」というよりも「見る」ことで直観的に理解してもらえるような一言をめざしてみよう。
「魂の一言」をつくりあげるには、3つのステップを踏むといい。まず、言いたいことを全部出す「言葉の『棚卸』」だ。続いて、棚卸した中から「心が動く言葉」をピックアップする。そして最後に、5つの方法を使って、13文字程度に「たたむ」。たたむための5つの方法とは、意外なものにたとえる、具体的な数字を入れる、「相手にとって得すること」が伝わる言葉を入れる、
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