ほとんどの人は、どのような会議が「良い会議」なのかを知らない。良い会議の条件は「時間厳守」「決まる・まとまる」「参加者の納得度が高い」の3つだ。特に重要なのは参加者の納得度である。会議で合意したことを実行してくれるかどうかは、参加者の納得度にかかっている。
「実のある会議ほどヒートアップするものだ」と考えている人もいるだろう。だが、それは大きな誤解だ。会議で白熱するような議論は不要である。勝ち負けや正誤に話がすり変わると、建設的な議論は遠のくばかりだ。会議全体が気まずい雰囲気になり、次回に持ち越されてしまうという経験をした方もいるだろう。
一方で、和気あいあいと会議が進んでも、収拾がつかなくなる場合もある。たくさんの意見が出たものの、なかなかまとまらず、結論を出すのに時間がかかってしまうこともあるだろう。本書では、こうした会議の「困りごと」をクリアするためのファシリテーション技術を伝授していく。
ファシリテーションとは、会議を円滑に進行することを指す。ファシリテーターは、会議が円滑に行われるように、プロセスをリードし、活発な意見が出る「場づくり」を演出する。単に会議の進行役を指すわけではない。
ファシリテーターに求められる役割は次の3つだ。1つは会議を設計(デザイン)できるか。2つめは会議をリードできるか。そして3つめは「場づくり」ができるかどうかである。
これらの役割を果たすには、あらかじめ会議の脚本を考える必要がある。会議をどう進行させ、どう着地させるのか。会議の結論を予測しておかなければならない。
先述した3つの役割について詳しく説明しよう。
(1)会議をデザインできるか
ファシリテーターは、会議の必要性や目的を明確化するとともに、その目的達成のために、議論の順番を組み立てる必要がある。具体的には会議の前にアジェンダ(進行表)を作る。
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