ゼロから学べる! ファシリテーション超技術

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ゼロから学べる! ファシリテーション超技術
出版社
かんき出版

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出版日
2020年10月05日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

近年、技術の進歩によって、人間が行わなければならない力仕事や単純作業は徐々に減少している。オフィスでの事務作業も、システム化やRPAの普及により自動化が進んでいる。その一方で増えているのが「問題を解決する仕事」だ。特に、新型コロナウイルスの流行によってリモートワークが進むいま、離れた場所で働く者同士が、お互いの抱える問題をすり合わせ、解決するために、オンライン会議の機会が増えている。そんな中、どうしたら会議をうまく進行できるだろうか、と悩んでいる方も少なくないだろう。

本書は、著者が6600人以上のビジネスパーソンから収集した「会議の課題」と、その対策をまとめた集大成といえる。現場のリアルな声がちりばめられているため、「あるある」と思う読者も多いだろう。

著者はNECグループの会社員時代に、年1000回以上の会議で進行役を務めていた。しかし、あるとき部下から、会議の進め方について「人の気持ちが全く分かっていない」と直談判されてしまったという。そんな著者が見出した渾身の解決策が、本書で提示されるファシリテーションの技術だ。ファシリテーションの基礎知識、問題解決の技法、具体的な進行表の作り方、オンラインミーティングのコツ。こうした内容を網羅的に学べる優れものの一冊だ。オンライン・オフラインを問わず、会議の進め方に悩んでいるビジネスパーソンは、ぜひ本書でファシリテーションの本質を学んでみてほしい。

ライター画像
狩野詔子

著者

園部浩司(そのべ こうじ)
プロファシリテーター。横浜市出身。1991年、NECマネジメントパートナーに入社。経理部に配属され、その後、事業計画部へ異動し36歳でマネージャーに昇格。さまざまな企画を立案し実行するが、プレイヤー時代の仕事のときのようにチームマネジメントはうまくいかず、成果をなかなか出せずにメンバーとの関係が悪化することが多かった。
変わらなければと、いろいろなセミナーを受講するなか、ファシリテーションスキルに出会う。ファシリテーションを実践していくうちに劇的にメンバーとの関係が良好になり、プロジェクトでも大きな成果がでるようになった。その後、300名在籍の組織変革プロジェクトリーダーを務め、年間1000本以上の会議をこなし、1年間で約2億円の営業利益の改善に導く。業務改革推進本部では、最年少部長に抜擢される。
2016年に独立し、人材育成や組織改革、風土改革のコンサルティングを行う「園部牧場」を設立。ベンチャーから大手企業までの会議を仕切るほか、年間2500人以上のファシリテーターの育成に携わる。営業活動はSNSなどを一切使わず口コミのみだが、数年先まで仕事の依頼が埋まっているトップファシリテーターである。これまでに指導した人数は、延べ6600人以上になる。
園部牧場のコンセプトは「枠、超えよう!」。自分も仲間も枠を超えるような仕事にチャレンジするという意味が込められている。日本最大級のスキルシェアサービス、ストアカでは上位1%のプラチナティーチャーに選出され、意識の高いビジネスパーソンに注目されている中目黒の蔦屋書店で行われる「ナカメで朝活」でも強く支持されている。
また、職人の仕事にあこがれ、2年前に寿司職人養成学校へ入学。寿司が握れるコンサルタント・研修講師としても人事担当者からも人気がある。「日本から不毛な会議を撲滅させる!」と強い決意で日々活動中。
https://www.sonobe-bokujo.co.jp/

本書の要点

  • 要点
    1
    良い会議の条件は「時間厳守」「決まる・まとまる」「参加者の納得度が高い」の3点である。
  • 要点
    2
    ファシリテーターの役割は、会議が円滑に行われるように、プロセスをリードし、活発な意見が出る「場づくり」を演出することだ。
  • 要点
    3
    会議で議論をする際のプロセスは、3段階に分けられる。まず参加者から意見を集め、それを整理し、方向性を決断・合意形成を行うというステップだ。
  • 要点
    4
    会議における合意形成は「参加者が会議終了後、作業するうえで迷うことがないレベル」で行う。

要約

会議に不可欠なファシリテーター

良い会議とは何か?
Drazen_/gettyimages

ほとんどの人は、どのような会議が「良い会議」なのかを知らない。良い会議の条件は「時間厳守」「決まる・まとまる」「参加者の納得度が高い」の3つだ。特に重要なのは参加者の納得度である。会議で合意したことを実行してくれるかどうかは、参加者の納得度にかかっている。

「実のある会議ほどヒートアップするものだ」と考えている人もいるだろう。だが、それは大きな誤解だ。会議で白熱するような議論は不要である。勝ち負けや正誤に話がすり変わると、建設的な議論は遠のくばかりだ。会議全体が気まずい雰囲気になり、次回に持ち越されてしまうという経験をした方もいるだろう。

一方で、和気あいあいと会議が進んでも、収拾がつかなくなる場合もある。たくさんの意見が出たものの、なかなかまとまらず、結論を出すのに時間がかかってしまうこともあるだろう。本書では、こうした会議の「困りごと」をクリアするためのファシリテーション技術を伝授していく。

会議を円滑に進めるプロフェッショナル

ファシリテーションとは、会議を円滑に進行することを指す。ファシリテーターは、会議が円滑に行われるように、プロセスをリードし、活発な意見が出る「場づくり」を演出する。単に会議の進行役を指すわけではない。

ファシリテーターに求められる役割は次の3つだ。1つは会議を設計(デザイン)できるか。2つめは会議をリードできるか。そして3つめは「場づくり」ができるかどうかである。

これらの役割を果たすには、あらかじめ会議の脚本を考える必要がある。会議をどう進行させ、どう着地させるのか。会議の結論を予測しておかなければならない。

ファシリテーターに求められる3つの役割

先述した3つの役割について詳しく説明しよう。

(1)会議をデザインできるか

ファシリテーターは、会議の必要性や目的を明確化するとともに、その目的達成のために、議論の順番を組み立てる必要がある。具体的には会議の前にアジェンダ(進行表)を作る。

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要約公開日 2021.03.24
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