本書では、コロナ後の新しい評価基準を、「目標管理」「報連相」「時間管理」「チームワーク」の4つの観点から提示している。要約ではそれぞれの観点から、ポイントの一部を紹介する。
まずは「目標管理」についてだ。企業はこれから仕事ありきのジョブ型雇用に向かう。業績評価の比重を高め、ハードな目標管理が主流となるだろう。ではどのような目標を設定するとよいだろうか。それは次の3つである。
1つ目は「チーム業績にダイレクトにつながるメイン業務に直結するもの」だ。営業なら「売上額」、製造なら「コストダウン」など、城の「本丸」的なものを目標にしよう。
2つ目は「今までやっていなかった新しいこと」だ。著者のセミナーに、家庭用品販売チェーンを経営する会社のスーパーバイザーが参加したことがある。彼女はコロナ禍のステイホーム中、会社に事前承諾をとった上で、おすすめ商品の使用法を動画に撮ってユーチューブにアップした。するとそれが社内で評判となり、会社は本格的に動画活用に乗り出したという。新しいチャレンジは「しかける仕事」として、取り組み自体に価値が認められやすいというメリットがある。
3つ目は「自分がやってみたいこと」だ。自分の好きなこと、やりたいことを思い切って目標に入れてみよう。目標3つのうち2つがメイン業務につながるものであれば、3つ目は多少離れていても許される。そもそも、目標管理は「やりがいを感じる目標を自ら設定し、達成に向けて活動するもの」である。会社も自分もメリットのあるWin-Winをめざしたい。
目標設定の「表現」も重要になってくる。ジョブ型雇用になると目標管理は厳格に運用される。そのため目標は数値化が必須となり、金額換算がポイントとなる。
たとえば間接部門では、やや抽象的な目標でも承認されてきた。しかし今後は数値で成果が見えなければ、業務はアウトソーシングに向かうことになる。
成果を数値化するには、金額換算がベストである。成果の切り口として、「品質」「コスト」「納期」「売上」「利益」の5つが考えられる。このなかで難しいのは「品質」と「納期」だろう。たとえば品質に関して、ある製品の不良が月10個出ているとする。これを8割削減することを目標として、返品時に発生する配送・廃棄費用、製造原価などを月額で割り出すと合計35万円だったとしよう。すると1年間の損失額は420万円で、その8割は336万円にあたる。これは「不良の8割削減による年間利益約300万円の改善」と表現できる。
このように数値を入れることでインパクトが増す。成果を表しにくいからこそ、目標の表現を工夫する必要がある。上司と部下が離れて仕事をするようになると、行動を見て評価してもらいにくい。価値ある目標、きちんとした成果報告こそが、評価を大きく左右する。
期の終わりに行う上司への成果報告。これまでは上司が部下を近くで見ていたため、成果報告も形式的なものでよかった。しかしリモートワーク下では、「言わないとわからない」。アピールは気が進まないかもしれないが、しっかり成果をプレゼンして理解してもらおう。では成果報告のポイントは何か。
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