LIMITLESS 超加速学習

人生を変える「学び方」の授業
未読
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出版社
東洋経済新報社

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出版日
2021年02月11日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.5
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おすすめポイント

人の創造力、想像力、決断力、思考力、判断力、学習能力に限界はない――急にこんなことを言われても、多くの人には信じられないだろう。しかしそれもあながち嘘ではないと、本書を読みすすめていくうちに思えてくるから不思議だ。

本書の著者は、脳のパフォーマンスを劇的に高める方法を開発し、記憶力の改善・加速学習の分野で知られる世界的エキスパートである。脳のコーチング歴は20年以上に渡り、グーグル、ナイキ、ハーバード大学など、数多くの組織や機関で実績をあげているという。しかしそんな著者でも、じつは幼少期に負った脳損傷により、学習困難に悩まされていた。大きなハンディキャップを克服した「リミットレス」な学習方法とは、一体どういうものなのだろうか。

本書によると、どんなことも可能にする「リミットレス」な状態は、3つのMが重なる領域にあるという。3つのMとは、マインドセット、モチベーション、メソッドのことだ。自己を制限する固定観念を手放すためのマインドセット、行動を起こすためのモチベーション、そして目的を効果的に達成するためのメソッド。これらを手に入れたとき、あなたにリミットはなくなる。日々の業務パフォーマンスを高めたいと考えているビジネスパーソンはもちろん、自分の限界に落胆している人にこそ、おすすめしたい一冊である。

著者

ジム・クウィック (Jim Kwik)
記憶力の改善、脳の最適化、加速学習の分野で知られる世界的エキスパート。幼少期に負った脳挫傷により学習困難に悩まされるも、脳のパフォーマンスを劇的に高める手法を開発。以来、人びとの真の能力と脳力を引き出す手助けに人生を捧げている。脳コーチング歴は20年以上。学生、高齢者、起業家、教育者から、ハリウッドの大物、プロスポーツ選手、政治主導者、ビジネス界の重鎮、法人顧客(グーグル、ヴァージン・グループ、ナイキ、ザッポス・ドットコム、スペースX、ゼネラル・エレクトリック、20世紀フォックスほか)、国際連合、カリフォルニア工科大学、ハーバード大学、シンギュラリティ・ユニバーシティなどの機関まで、実績は多岐にわたる。
基調講演の聴衆は年間のべ20万人超、オンライン動画の再生は数億回。『フォーブス』『ハフポスト』『ファスト・カンパニー』『インク』、CNBCなど各種メディアにもたびたび登場。主宰するポッドキャスト「クウィック・ブレイン」はiTunesの教育・自己啓発ジャンルで常時トップ圏に入り、オンラインコース「クウィック・ラーニング」は195か国の学習者に利用されている。
また、脳の健康と世界の教育を支持する慈善活動家としても、アルツハイマー病の研究からグアテマラやケニアでの学校建設まで多くのプロジェクトに出資。医療、きれいな水、子どもの学習機会を提供している。ミッションは「1つの脳も置き去りにしない」。

本書の要点

  • 要点
    1
    著者は幼少期に脳に損傷を受け、困難な学生時代を過ごした。しかし脳を「リミットレス」な状態にすれば、どんなこともできると考えるようになった。
  • 要点
    2
    リミットレス・マインドセットを培うためには、「自分には限界がある」という固定観念を手放す必要がある。
  • 要点
    3
    リミットレス・モチベーションを養ううえで重要なのは、小さく簡単なステップを繰り返すことだ。高いパフォーマンスを達成する「フロー」を利用しよう。
  • 要点
    4
    リミットレス・メソッドには、「学習効果を最大化する7つの習慣」「誰でも読書スピードを速くできる速読の技法」などの手法がある。やり方次第で学習効果は大幅に高められる。

要約

リミットレスへの冒険

著者がリミットレスになるまで
coldsnowstorm/gettyimages

「僕は頭が悪いから勉強ができない」――これは子どもの頃の著者(以降、ジムと呼ぶ)の脳内でマントラのように鳴っていた言葉である。すべては幼稚園で、金属の温水暖房器に頭から落ちた事故が始まりだった。すぐに病院に運ばれたが、医者からは「脳の損傷は深刻」と非情な宣告を受けた。

それ以来、ジムは一変した。注意力は散漫になり、集中することや覚えることが困難になった。劣等感を覚えるたびに、「脳が壊れているから」だと自分に言い聞かせ、学校時代のほとんどの時間を、授業で当てられないように縮こまって過ごした。

さまざまな困難の中、どうにか大学に進学したジムだったが、ここで転機が訪れる。それは大学の友人の父との出会いだった。友人の父に授業についていけない悩みを打ち明けると、週に1冊本を読むように諭される。だがさらなる課題の追加は、ジムにとって非常に無謀なことに思えた。食事も睡眠も取らず、課題に向き合ったジムは衰弱し、階段から転落してしまう。病院で惨めさに打ちひしがれながら、「もっといい方法があるはずだ」と心の中で思った。ジムがリミットレスに目覚めたのは、正にその時だった。人から教わった方法ではなく、もっと速く学べる方法があるはずだと。

「学ぶ方法を学ぶ」という考えに取りつかれたジムは、神経科学や教育心理学、はては古代の記憶術に関する本を読み漁った。独学に没頭してから2カ月後、変化が訪れた。注意が散漫にならず、文章もすらすら読め、勉強した内容を労せずに思い出せるようになったのだ。

こうしてジムのマインドは、「どんなことも可能だ」と思えるくらい完全に変わった。そして自分のミッションは、脳をアップグレードし、学ぶための「心構え」、「動機づけ」、そして「方法」を教えることだと考えるようになる。

脳はアップグレードできる
rudall30/gettyimages

あなたは「もう本当に限界で、気ばっかり散るし、物忘れもひどくなる一方なんだよ」と思っているかもしれない。しかし、あなたは生まれながらに最高のスーパーパワーを、両肩の間に持っている。そう、脳だ。脳の主成分は水と脂肪だが、信じられないほどの能力を発揮する。1日に最大7万もの思考を生み出し、あなたが文字を読みとっている間にも、約860億のニューロンが発火している。

脳の研究は日進月歩で、まだまだ未知な部分が多い。それでもこの10年で、さまざまな発見があった。その中でも「神経可塑性」という能力に注目したい。神経可塑性とは、「脳は柔軟に変化する」ということだ。新たなことを学習し、適応して新たな神経回路を作ることで、その構造や機能を徐々に作り替えるという驚くべき能力である。この可塑性をうまく活用すれば、あなたの学習、ひいてはあなたの人生に限界はないとすら思えてくる。

脳をリミットレスにするうえでは、「心構え=マインドセット」「動機づけ=モチベーション」「方法=メソッド」が重要だ。これら3つにおいて自身が抱えているリミットを超え、すべてが重なったところに「リミットレス」が存在するのである。

リミットレス・マインドセット

「自分には限界がある」という思い込み

かつてのジムがそうだったように、「自分にはできない」「おまえには無理だ」という固定観念は、人の持つ可能性を制限してしまう。逆に言えば、自己を妨げている固定観念さえ覆せば、大いなる才能を発揮できるということだ。

固定観念を手放すうえで重要なのが、以下のプロセスである。

まずは

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要約公開日 2021.04.22
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